トタン屋根の上の猫

 正確には

 焼けたトタン屋根の上の猫

 という。
 テネシー・ウィリアムズ と言う劇作家の芝居のタイトル。

 内容は……忘れた。

 真夏の稽古の

 猫と針

 進行中にこのタイトルだけ思い出した。

 
 実を申して、この作品が思いの外、難事業となっている。
 あと一週間で初日というタイミングで、
 まだ、貫通していない。

 まあ、こういうプロデュース公演で、新作が簡単にできると思う方が、間違っていて、

 難事業、上等!かかってこいやあ!
 
 という気合いでいかなきゃイカンのだろうが。

 ともあれ、そんなこんなで、ここ数日は、昼から夜更けまでビッチリと稽古場に張り付いている。

 その結果、周りはほとんど全員、キャストもスタッフも初めてお会いした人々にも関わらず、かなり前からの仲間のような感じになってきた。

 まあ、ぶ厚い岩盤に共に挑みかかり、ドーンと貫通させるようなことをすれば、どんな手続きもなく、仲間の絆は結ばれるということであろう。

 冷静に考えたら、かなり痺れる状況なんだけど、
 割と、平然としつつ、
 軽口叩き合いながら、過ごせているのは、こういう仲間達のお陰である。

 

 灼けた トタンの上で、
 ヒーヒー言いつつ、道化おどりを踊る 猫みたいな
 わしらだけど……

 
 明日こそは貫通させて、穴ッボコの、向こうの景色をしかと見定めてやると、
 誓い合う、足裏ヒリヒリの猫たちであった。

 
 

 


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