一夜明けて

 貫通した!

 もちろん、まだトンネル完成とはいかないが、岩盤が砕かれ、我々の行く手がはっきりと見えた!

 昨夜の呟きは、正直に申せば、まあ、祈りのようなモノであった。

 そろそろ出来上がってくれなきゃ困るのよ〜

 もっと赤裸々に言うならば、上演台本が遅れていたのである。
 恩田先生、粘りに粘って、ついにここまで、引っ張ったのである。
 三分の2までは、かなり前に出来ていたのだけど、
 
 ラスト近くになって、かなりの長考に入られていた。
 
 で、わしらはやきもきしながら、ある部分を稽古しつつ、残りを待ち続けていた、というワケだ。

 しかし、待った甲斐があった。
 初戯曲にして、恩田陸の世界が鮮やかに展開され、
 そして、穏やかに、着地する。

 そんな、ホンに仕上がっている。
 
 あとはわしらがそれをきちんと立体化し、舞台に乗せるだけだ。
 
 残り時間は少ないけれど、今日、最後の15分ぶんを受け取り、読み合わせて、さっそく稽古してみて、
 確かな手応えを感じ、

 迷わず行こう、行けば分かるさ、
 と一同確信したのだった。

 ともあれ、これにて、深い霧の中を脱出。
 明日からはガシガシ稽古する。

 と言っても、大熱演をするような芝居ではなく、
 あくまでも、ナチュラルに、軽妙に。

 大袈裟なことはなく、しかし、その何気ない風景の中に、大事な時間が切なく流れている。

 そんな芝居になる予定。

 だから気持ちはガシガシ、見た目はユラユラで、焦らずに急いで進行していく。


 しかし! 

 大熱演ナシよ。
 あくまでも、チマチマと、何気なくよ。

 というのが、この企画でいかに画期的なことであるのか、演劇事情に詳しい人なら、分かるだろう。

 番外扱いとはいえ、これは
 極限のハイスピードとパワー、いつも明るく元気な、
 キャラメルボックスの 公演なのである。
 
 そこにおいて、ボソボソとか、チマチマとか。
 今時流行りといってしまえば、それまでだけど、
 この座組でそれをやろうというのは、
 これはもう、決死の覚悟のことなのである。

 何しろ、この劇団の観客の皆さんにとっても、戸惑うはずのことだから。
 セリフの後ろにも、ほとんど音楽は流れないし……
 
 ただ、今回そうなっているのは、なにもわしが彼らに押しつけたことではなく、彼ら自らが、そういうことにチャレンジしたいと発案したことなのである。

 それはとりあえず、ここで言っておこう。

 
 まずは、ご心配おかけして申し訳ございませんでした!



 あと、明日はまた『ドリル魂』イベントです!
 そんな事情で、わしは、やっぱりお休みになりますが、
 どうか、盛り上げてやって下さい。

 あと、木原先輩、バックアップありがとう!
 明日、番組に出して下さる、

 お天気予報士・木原実さんは、
 わしや岡森、六角の高校時代の先輩なのであります。

 特に、わしは、木原さんに会わなかったら、芝居なんかやってなかったかもしれぬのです。

 
 


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