ラブラブラブが始まった

 ラブ×3 19 が始まった。11日まで すみだパークスタジオ内、マル倉にて。

 毎年のことだし、今はもう先頭に立ち、指揮を執ることもないので、かなり冷静に見守っているんだけど、
 それでもラスト近くになると、いろんな感情が湧いてきて、グッと来る。

 総じて未熟で、下手くそな演技、歌、踊りで、こんなものに泣かされていちゃプロとしては困るんだけど、
 私達がずーっと関わってきた演劇と、今まさに、正面衝突のように体当たりで出会っている若者たちの姿は、理由なしに、良いものだ。

 今、明治座の舞台の稽古中の高木トモユキが、昨日の初日を見に来ていて、終わるなり、オレもちゃんとやらなきゃと思いました、と言ってきた。
 見なくてもちゃんとやれ、バカ。

 もっとも、かくいう私も、彼らの姿から今の自分の任務のようなものを、いつも教えられていて、
 そうやって、原点に立ち返らせる装置なんだな、ラブ×3は俺らにとっても。

 初日の夜、私ら指導部は、行きつけの中華居酒屋で乾杯。
 一方若者たちは、早く帰って休めと命じられて解散。

 しかし若者たちは、初日の反省とか語り合いとか、酒を飲むわけでもなく、ただただ話し込んで
 なかなか解散しない。
 
 そりゃそうだな、生涯忘れ去られない体験をした直後だものな。
 鎮まらないよな、身も心も。

 彼らの心の中に吹きだした疾風怒濤に、思いを馳せ、オッサンたちもしみじみと来た道を思い返す。

 考えたら、初めての体験というものが、とんと少なくなったねえ。
 何となく、どれもこれも、何度目かのものでね。

 生まれたての彼らのことが、ちょっとうらやましい、そんな公演である。

 来年はついに20周年。
 もちろんまた新しい研究生を募集して、20回目に向かう。

 普通の公演を20回続けるのも大変なのに
 扉座は、研究生公演が20回目だよ。
 普通20年もやれば、かなり上達するし、手慣れてダレたりもするんだけど
 なにせ、常に新人たちだから

 毎年毎年、ヘタクソで、しかし常に新鮮なギリギリの体当たり。
 
 これはこれで、たいした文化財だと思うのはオレだけか?
 未見の演劇ファンには一度見てみてほしい。

  
 
    
 

 
 


 







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