ワンピース歌舞伎
そもそも ワンピース歌舞伎 なんて言葉はないのである。
しかしネット検索すると、もはやこれが一般的になっている。
『ワンピース』の大阪公演、三日間を見届けて、私は一味と離れて東下り。
大盛り上がりの劇場と心斎橋に、ずっといたかったけど、後ろ髪ひかれる気分で、一座にサヨナラいってきた。
何度も言うけど、『ワンピース』がこんなに成功するとは思っていなかった。
私は、稽古の早い時期に手ごたえを得ていたけど
でも、それは個人的なもので
ワンピースファンや、歌舞伎ファンの感想とは、まったく別物だろうと思ってた。
何しろ、前評判が際どかった。
話題にはなっても、どんな失敗になるのかお楽しみ、的なトーンが多くて。
身内もかなりマジで心配していたものなあ。
そんなもの引き受けた勇気に拍手なんて、な。
走る前から、努力賞、かんばりました賞、決定かよ、という感じだった。
(それどころか、いろんな賞貰ったんだぜ。大谷竹次郎賞という歌舞伎脚本の賞もね。お祝いメッセージなどたくさんありがとうございました。稽古場でみんなで書いたようなものなのに恐縮ですが……これで歌舞伎の新作と認定されたワケであります)
しかし、今思えば、そんなふうに前評判、期待値が下がっていたから、逆にやりやすかった面はあったかもしれぬ。
猿之助さんはじめ歌舞伎界の人たちや、製作チームにとっては、大失敗は深刻だったろうが、
俺はまあ主犯とみなされ断罪されても、江戸というか、新橋・銀座ところ払いになるぐらいの話でな。
新橋・銀座を出禁になっても、錦糸町本丸や厚木の出城が残るからね。
雑念なしで、力を抜いて、のびのび大振り出来たのかもな、と今思う。
そういう意味では、実は、この再演に向けて、今回はちょっと慎重だった。
九月の頃に比べて、期待値が俄然上がっているからな。
新橋公演が終わってからいろんな人に言われたものよ。
ワンピロスですよ、と。
東京だけで三十回ぐらいリピートしたお客様とかに、どーっと半券見せて頂いたりして。
三十は明らかに、私が見た回数を凌駕しているのである。
お客様の方が、私よりも、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』を熟知していて、しかも再開を待ち望んでおられるのである。
ネットとか覗き見ると、昨年の秋には
お願いだから辞めて欲しい!とか、絶対に行くか、そんなもの!とか
みたいな言葉が多かったのに、というか被害妄想に取り憑かれた目には、そういう否定文ばかりが飛び込んで来たのに。
今や
絶対に行かなきゃ一生後悔、人生損しますよ、なんて身内でもない方が、見てない人たちに呼びかけてくださったりしている。
嬉しいけど、正直、ちょっとビビる。
東京公演の半ば頃には、猿之助さんから、次に向けていろいろ変更したいと言われていた。
また、新キャストの参加、キャスト変更もあった。
普段だったら、ほんの三か月後の再演にそんなに変えなきゃイカンなんて、面倒くせえな、と思ったりするんだけど
今回は、去年の内から綿密に打合せ、もう一回、原作を読み返し、全体に手を入れて、改訂校をこしらえた。
だからまったく浮かれてなくて、さらなる真剣勝負をしてるんだ。
そんなニューバージョン、お蔭様で、大阪松竹座公演は連日満員御礼状態のようです。
おおきに!
ただ、四月の博多公演はまだ、良いお席もあるみたい。
今日年の夏、指原莉乃様の座長公演でお世話になったばかりの博多座に
スーパー歌舞伎でまた行けて、とても嬉しい。
実は、博多座はスーパー歌舞伎が最も引き立つ小屋だと、これは先代猿之助が明言した劇場なのです。
タッバがあるから、宙乗りが、たかーーーい所を飛ぶし、花道はちゃんとあるのに、小屋の雰囲気がハイカラでね。
歌舞伎と宝塚、どちもちゃんと上演出来るような小屋、というのがコンセプトらしいので、まさにスーパー歌舞伎的なのです。
博多座公演もどうぞよろしく!
そう言えば、HKT48のみんなにも、見て貰わなくちゃな。
たぶん、驚くと思う、同じ小屋で、自分たちもやった覚えのあることが、いろいろと起きているから。
同じ小屋なのに、違いすぎて、びっくりではなく。
アタシタチもやったよ、これ的な。
あれは実は、スーパー歌舞伎様式で創ったからね。
基本はあれこれ重なっている。
HKT48メンバーとファンの皆様は、大向こうだって出来るんだしな。
さてそんな私は、この間に、新作書きに。
6月にやる、扉座公演です。
必死こいて書く!
ゲキゲキの実 食いたい、どこかにないか?