ここを目標にしたことはない

 世界的な記録を達成しながら、ここを目標にしたことはないから、ピンと来ないと、天才イチローは涼し気に言った。
 カッコ良いねえ。クールだねえ。

 常に暑苦しい浪花節の私は、いつもいつも明日が精一杯の目標だから、何の記録も作ってないのに、すでにクタクタである。
 
 で明日、新作の初日。
 
 久しぶりに、かなりしびれている。
 いろんな期待にしっかり応えなくちゃいけないという思いが、今回はことさらに強いから。

 どう転ぶか分からない新作創りにも、文化庁のような援助をして下さった、
 幻冬舎・見城徹社長のそのお気持ちに、なんとしても120パーセント応えたいし、
 つか版忠臣蔵を見て、今回の第2弾を楽しみにして下さっている、少なからぬお客様たちのご期待にも、ぜひ想定の斜め上を行く、感じでお応えしたい。

 斜め上を行く、という言葉。
 スーパー歌舞伎Ⅱ・ワンピース の時、いろんな評価のなかで書かれていたもので、
 すっごく気持ちの良い、言葉だった。
 常に斜め上を行きたいものだ。

 もっとも、ワンピースも前評判はかなり低いモノだったから、斜め上も比較的、楽であったわけで、
 つか版忠臣蔵 がウケたから、もういちょう、という今回の斜め上は、決して簡単じゃない。それが分かってるから、ことさら苦労もしたのだ。
 
 ま、あとは潔く、御覧になる皆様の感想に委ねよう。
 やれるだけのことは、全部やった。
 それは言いきれる。
 『郵便屋さんちょっと』を、こんなふうにやってごらん。
 すっげー大変だから。
 てか、まあ、こんなこと誰もやらんだろうが。

 にしてもつくづく思ったのは、シェイクスピアはとてつもなく偉い作家だなあ、ということ。

 見城さんから、特に強いプレッシャーがあった訳ではない。
 横内の思うように作品を作ればよいのだ、と全面的に、私のことを信じてサポートして下さっている。
 だからこそ、何としても、喜ばせたい、という気持ちも強まるのであるが、
 その責任の重さに、時に、ビビルし震えは来るよ、やっぱりな。
 
 でもシェイクスピアという人は、かのエリザベス女王とかから、サポートされて、お前、フォルスタッフ(シェイクスピアの生んだ人気キャラ)を主役にして一本書きなさい、と命じられて
 それで傑作を、書き残したと言われているのだからねえ。

 相手は女王なんだから、怖くないはずがないだろ。
 彼は、少しもビビらなかったのかね。
 でもそのプレッシャーの中で、ちゃんと結果を出してゆくわけだ。

 それはもはやイチローの境地だね。
 そんな能力が私も欲しい……
 どこかに売ってないか、人の期待に立派に答える能力を得る、コタコタの実、みたいな悪魔の実。

 まあな、イチローやシェイクスピアと重ねて己を論じようとする、その姿勢がもう、不遜の極みであり、誤った考えだろう。
 能力者ではない凡人はただ、苦しんでのた打ち回って、明日の日を、人生最大の目標として全身全霊で挑んで、どんな手を使っても乗り越えてみせるのみ。
 
 明日から、そんな俺的頂上決戦の日々。
  
 応援よろしく!

 ☆土日の、厚木公演は当日券あり。
 高円寺公演は、残席が少なくなってます。ご検討中の方、ご予約はお早めに。
 どうかお見逃しなきように。  
 

  
  
  

   
 
   
 
 
 
   







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