扉座

 私も無謀をやります

 この度も見城徹様よりご厚情を賜り、5回目の幻冬舎プレゼンツ公演をお届けします。もちろん、学生無料招待公演『無謀ナイト』も開催します。
 大きく違うのは、今までつかこうへい氏の原作で続けたシリーズをオリジナル作品で挑むということです。厳密にいえば、水戸黄門という下敷きがあるので完全なオリジナルではありませんが、大きな無謀であります。平成最後の劇団公演で、そもそも約30年前、見城様の知遇を得るキッカケになった劇団初期の代表作『夜曲』の主演だった六角がシリーズ初参加する聖地・紀伊國屋ホール公演。私と岡森は青春時代深いつかマニアでありましたが、後輩の六角は我々があまりに騒ぐのでつか芝居に冷ややかになったというひねくれ者です。それでもつかの影響が濃かった頃の拙作で活躍していましたから、今回も久々に六角を乗せた横内版つか的作品で、ホームタウン厚木から聖地への遠征を果たそうと思います。
 それでも、つか的をやるのか、ということですが、それは「何やってもいいけど、泣ける!燃える!キマル!つかスタイルだけは踏襲してくれ。劇場が揺れていた、熱い舞台を蘇らせてくれ!」という見城様の唯一のリクエストと、それこそ我々の願いでもあるという思いの重なりです。舞台上で何も起こらず、役者が一滴の汗もかかない手抜き芝居を新芸術と言って有り難がった不毛な20年を超えて我々が未だ小劇団活動を続け、敬愛するつかこうへいさんの死を介して、今も演劇に熱狂したいと言って下さる見城様と再会を果たした意味がそこにあるのだと信じています。六角は「何も起きないのも面白いじゃん」とかボソッと呟くんですけど。
 水戸黄門は昭和のプロレスみたいな世界です。悪者が葵の印籠を一目見ただけで平身低頭する。しかしこの時代、美しき予定調和を成立させるのは並大抵のことではありません。「控えおろう!」と言っても、誰も控えなかったりする。何しろ皆、混沌のダイバーシティに生きてますから。しかし、ここに誠意を尽くして新たなドラマを紡ぎ、石にかじりついてもハッピーエンドにしてみせる、その覚悟。遠ざかる我らの昭和と、薄色のまま過ぎ去ってゆく平成にサヨナラを言う為に、御一行に頑張って貰おうと思っています。
 オープニングは、テロ集団の抵抗に遭った血みどろの助さん、格さんの姿です。
 今回の作品を製作するにあたり、見城様、幻冬舎様のご厚情・ご支援に心より御礼申し上げます。そして私たちの活動を支えて下さる、厚木市文化振興財団様や、厚木市民応援団様、厚木扉座サポーターズクラブの皆様、紀伊國屋ホール様に深く御礼申し上げます。

横内謙介