『龍神伝』 1998年初演
 荒ぶる龍神・龍彦が千年の旅から帰ってみると、最愛の人・泉の姫の住む美しい湖は枯れ果て、ただはてしない荒野となっている。聞けば、人間たちが水を奪い合い、ついに枯らしてしまったのだという。かつて龍神が住んでいた頃は、人間たちは龍神が暴れることを恐れ、湖に畏怖の念を持っていたのが、龍神が消えて、すっかり思い上がったというのだ。龍彦は驚き嘆く。自分が暴れることが他の者たちの迷惑になるのだと思い、荒ぶる魂を封印するために長い旅に出たというのに、それが仇となったとは……千年振りに泉の姫と再会をしてみると、かつて美しかった姫が、まるで老婆の如く哀れな姿に変わり果て、明日をも知れぬ様子だ。千年の放浪の間、どんなことがあっても押さえ続けてきた、龍彦の怒りの本能が魂を震わせて目覚め始める…… 二十一世紀歌舞伎組上演。
*モーニングデスク刊
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