扉座sp

Cast

  つかこうへいよ、再び!

幻冬舎Presents劇団扉座5回目の公演である。
40年前のつかこうへいの舞台は、涙と笑いで紀伊國屋ホールが揺れていた。その感動の舞台を再現する無謀な試みは、5回目にしてついに横内謙介の完全オリジナル作品となる。
前4回も、つかこうへいの作品にタイトルを借りた、横内謙介のほぼオリジナルだったのだが、今回はタイトルからして極端に振り切った。「無謀漫遊記-助さん格さんの俺たちに明日はない-」は、果たして、いかなるストーリーなのか。このパンフレットを書いている8月20日の時点で、僕は何ひとつ知る由もない。
厚木高校時代から、新宿紀伊國屋ホールのつかこうへいの舞台に放課後通い詰めていた横内謙介は、つかこうへいの芝居の影響をもろに受けながら、だからこそ自分を律し、独自の舞台世界を構築し完成させていった。しかし、つかこうへいよりつかこうへいらしい舞台を作れる、唯一の存在は横内謙介だと僕は確信している。
すみだパークスタジオの「つか版 忠臣蔵」の初演を観たときは、40年近くの時を経てつかこうへいの全盛期の舞台が蘇ったと胸を掻き毟って狂喜乱舞した。その舞台を観て、つかこうへいへのオマージュ舞台に限って、僕がスポンサードすることに決めるのだが、前4回の幻冬舎Presentsの公演は、僕の期待を裏切らないものだった。僕に言わせれば、つかこうへいの全盛期は1975年から1980年までである。その興奮と熱狂を、40年後の若者たちにどうしても伝えたい。その一点で横内謙介と僕は無言の信頼で結ばれて来た。毎回、横内謙介はつかこうへいに捧げる物凄い舞台を作ってくれる。今回はタイトルが決まった時、「ん?」と思ったが、横内謙介は、困惑する僕をまっすぐに見つめたまま、身じろぎもしなかった。毎回そうだが、全ては横内謙介に任せるしかない。助さん格さんを、六角精児と犬飼淳治、水戸黄門を岡森諦がやるらしい。舞台に命を懸けている扉座の役者達が、一体どんな水戸黄門漫遊記を新宿紀伊國屋ホールに出現させるのか。僕の細胞には、つかこうへい全盛期の圧倒的な時間が未だに深く刻まれて染み渡っている。時間よ戻れ。40年前のつかこうへい全盛期の熱狂と興奮。舞台と客席が一体となって揺れていたあの奇跡の空間。
つかこうへいよ、新宿紀伊國屋ホールに再び降臨せよ!

幻冬舎 代表取締役社長 見城 徹



 私も無謀をやります

この度も見城徹様よりご厚情を賜り、5回目の幻冬舎プレゼンツ公演をお届けします。もちろん、学生無料招待公演『無謀ナイト』も開催します。
 大きく違うのは、今までつかこうへい氏の原作で続けたシリーズをオリジナル作品で挑むということです。厳密にいえば、水戸黄門という下敷きがあるので完全なオリジナルではありませんが、大きな無謀であります。平成最後の劇団公演で、そもそも約30年前、見城様の知遇を得るキッカケになった劇団初期の代表作『夜曲』の主演だった六角がシリーズ初参加する聖地・紀伊國屋ホール公演。私と岡森は青春時代深いつかマニアでありましたが、後輩の六角は我々があまりに騒ぐのでつか芝居に冷ややかになったというひねくれ者です。それでもつかの影響が濃かった頃の拙作で活躍していましたから、今回も久々に六角を乗せた横内版つか的作品で、ホームタウン厚木から聖地への遠征を果たそうと思います。
 それでも、つか的をやるのか、ということですが、それは「何やってもいいけど、泣ける!燃える!キマル!つかスタイルだけは踏襲してくれ。劇場が揺れていた、熱い舞台を蘇らせてくれ!」という見城様の唯一のリクエストと、それこそ我々の願いでもあるという思いの重なりです。舞台上で何も起こらず、役者が一滴の汗もかかない手抜き芝居を新芸術と言って有り難がった不毛な20年を超えて我々が未だ小劇団活動を続け、敬愛するつかこうへいさんの死を介して、今も演劇に熱狂したいと言って下さる見城様と再会を果たした意味がそこにあるのだと信じています。六角は「何も起きないのも面白いじゃん」とかボソッと呟くんですけど。
 水戸黄門は昭和のプロレスみたいな世界です。悪者が葵の印籠を一目見ただけで平身低頭する。しかしこの時代、美しき予定調和を成立させるのは並大抵のことではありません。「控えおろう!」と言っても、誰も控えなかったりする。何しろ皆、混沌のダイバーシティに生きてますから。しかし、ここに誠意を尽くして新たなドラマを紡ぎ、石にかじりついてもハッピーエンドにしてみせる、その覚悟。遠ざかる我らの昭和と、薄色のまま過ぎ去ってゆく平成にサヨナラを言う為に、御一行に頑張って貰おうと思っています。
 オープニングは、テロ集団の抵抗に遭った血みどろの助さん、格さんの姿です。
 今回の作品を製作するにあたり、見城様、幻冬舎様のご厚情・ご支援に心より御礼申し上げます。そして私たちの活動を支えて下さる、厚木市文化振興財団様や、厚木市民応援団様、厚木扉座サポーターズクラブの皆様、紀伊國屋ホール様に深く御礼申し上げます。

 横内謙介