大晦日

 28日に、ラブ×3の最終オーディションをやり、その後、集まっていた座員たちと本当の忘年会をしたり、

 十月から延び延びになっていた両親の金婚式のお祝いをやっとしたり、
 
 かなりフツーの年の暮れです。

 そして間もなく新年に。

 今年は 変 の年だったらしいですけど、
 自分の周辺はさておき、変というか、かなり不気味な年でだったと思います。

 まあ金融問題が、大きく世の中を揺らしていて、来年からの不安をひたすらかき立てているのも、かなり不気味です。

 しかし、それ以上に、
 人の孤独感というか、絶望感というか、やはり心の問題が、その裏に大きく広がりつつ、あるのではないかと、
 若作りオヤジは危惧します。

 金なんかなくても、なんとかなるぜ、
 せめて元気出していこーぜ、という呼びかけに、

 応える気力も人々はなくしているんじゃないかと。

 先日、AKB48を観に、秋葉原に行ったのですが、
 そのとき、例の事件の場所を通りました。

 あの、
 若者がトラックで交差点に突っ込んでいった、理不尽な事件です。
 
 その若者は、今はとても落ち着いているんだそうですね。
 むしろ、いろんな人が、自分に興味を持ってくれて、話を必死に聞いてくれるので、
 嬉しくて仕方ない、ような感じなのだとか。

 これから殺人をします、という書き込みは無視されたのに、
 本当にやってみれば
 こんなに多くの人が、こちらを向いてくれた。

 つまり、
 そんなことまでしなきゃ、若者は誰にも、話を聞いてもらえなかったということなのでしようか。

 たぶん、そうなのでしようね。

 つまり今の世の中、
 トラックで、交差点に突っ込んで人数人殺さなきゃ、
 話しを聞いてくれる相手をみつけられないのです。

 それが、現代の真実なのかもしれません。

 ただ、
 これが、この中のルールになると、困るわけで、
 
 だって、寂しいヤツは、皆、無差別殺人でもしなきゃ、生きる道が開けないってことになる。

 自分の孤独のために、人を殺す。

 そもそもこれは大きなナンセンスですが、
 それで殺される方は、たまったものではありません。

 そんな時代に、演劇に何が出来るのか。
 そんな世の中を変えられる、なんて思い上がったことは言えません。

 我々もとことん無力です。
 我々もまた、つまらぬ金融の行き詰まりで、ナンパしてしまいかねない、ちっぽけな存在です。
 魂のことを語る前に、現実的な不安と困難がありすぎる。

 ただ、
 ちょっとだけ誇ることが出来るのは、
 そんな時代に、私たちは、それほど寂しくはないのかなと。
 
 今年もたくさんの人と出会いました。
 そしてたくさんお話ししました。
 私の話が伝わってるかどうか、それははなはだ疑わしくはありますが、
 少なくとも、
 人殺しなんかしなくても、
 大事な時間を割いて、私と私の仲間たちに、付き合ってくれる人たちが大勢いる。

 誠実に、演劇に取り組んでいる限り。
 
  
 そんな幸せを噛みしめつつ、
 新年を迎えたいと思います。

 そして、
 出来ることなら
 
 我々の舞台が、
 
 わずかでも、この世に蔓延する 孤独病の、抵抗力になることが出来るように。

 私たちが、唯一持っている財産である、
 皆さんとの絆を何よりのパワーとして
 
 作品作りに励んでいきます。

 今年もありがとう。
 

 
 
 

 


 
  

 
 
 

 
 

 


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