ファミリー劇場か

 文化会館と市民応援団と、我々が作り上げてきた、厚木シアタープロジェクトの記念すべき20回目の公演であった。

 2日とも気持ちの良い満席。

 ただ、
 我ながらびっくりしたのが、その客席を構成する、観客層の幅広さ。
 昨年やった市民劇『リバーソング』の流れで、小学生は大勢いるし、各地でやってきたワークショップの流れで、制服姿の中高生もいるし、
 もちろん市民応援団として、ずっと支えてきて下さったご年配の方々とか。

 百鬼丸 は どろろ が原作だけど、決して児童劇ではなく、
 浄瑠璃なんか使っているけど、通人だけに向けた古典劇でもなく、

 いわゆるひとつの、現代劇である。
 手抜きじゃねえのかとか、非難されつつ、相変わらず裸足にGパンでやってるしな。

 こんな郊外ファミレスの客層みたいな客席がひとつにまとまったら、奇跡だなと思ったけど、

 なかなか良い具合に溶け合って、厚木ホーム公演ならではの味わい深い舞台になったと思う。

 きっと小さな少年少女たちは、途中、怖くて、おしっこチビリそうになったと思うけど。
 最後まで、静かによくがんばった。

 登場しているのは、愉快な妖怪たちだと、こちらは思っているけれど、妖怪以上に、こんな変な演劇やってるオジサン、オバサンのテンションは、子供にとって、何より恐ろしいものであろうからな。
 まあ、イカサマ縁日みたいなもので多少のトラウマも、大人になるための通り道だ。
 君たちは、良い経験をした、と言っておこう。

 厚木舞台アカデミー選抜メンバーの浄瑠璃も、よく扉座と融合して、舞台一面を地元の竹と声で埋める、大役を果たしてくれた。

 他の場所の公演ではできない演出で、厚木で見て得をしたと、言ってくれたお客さんも大勢いた。
 歌などと違って、合わせるのが非常に難しいんだが
 積み重ねた稽古の賜であろう。

 メンバーの皆さん、お疲れ様でした。

 前回より、良くなったと、初演も見ている人たちから何度も言われている。

 実を申して、そんなに中味は変更してはいないのだけど。
 むしろ、そぎ取った部分が多い、今回の上演だ。

 ただ
 何と言っても、累央とか、ガンちゃんとかケンタとか。ドリル魂世代が、五年前とは存在感が違う。
 犬飼だって、昨年の韓国ツアーを経て、もはやうちでは中心メンバーに昇格している。
 そこに久しぶりの劇団公演で気合いを入れて臨む、山中崇史と麻里が加わっている。

 特に崇史は、相棒では見せられない、舞台俳優モード全開で、汗だくだ。まあ、汗っかきは昔からだけど。
 テレビの中の彼しか知らぬという人も、大勢いるらしいが、ぜひ、この舞台を見てやって欲しい。

 それやこれやで、たぶん芝居の厚みが生まれている。
 もちろん、平栗あつみの「厚み効果」も相乗で。

 劇団としての、クライマックスみたいなのは、今までにも何度かあったと思うけど、この舞台は、間もなく30年になる、我が劇団の、ひとつの到達点かなと思えてきた。

 最近は、それぞれに部外活動も忙しく
 たとえ、この作品が、将来再演することがあるにしても、このメンバーが揃うかどうかは正直微妙である。

 今回の公演を見逃さないで頂きたい。


 
 
 
 
 
 


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