阿呆鴉から 2週間

 ☆先日のお披露目会の模様を大勢の方がレポートして下さっています。
  ぜひ、見てみて下さい。扉座ホームページに、一覧表にして飛べるようになっています。(きっと掲載洩れも多々あります。ご紹介くださった皆さん、お手数ですが事務所までご一報を。急ぎご紹介します。この流れ大きな渦にしていきたいです。)


 さて


 新水滸伝~阿呆鴉 という極私的・大阪夏の陣 を終えて2週間。
 たった2週間だけど、ずいぶん離れてしまった感じ。

 奇しくも同じ稽古場で、稽古していた、早乙女太一くんは、今日が演舞場の新作初日である。
 こちらも、夏の陣2作とは全く別物の、演し物をガシガシ製作中。
 
 ホンマに、じっとしてられんのかワシら。
 しかし頑張れ太一クン、朱雀の皆、ワシらもがんばるでぇ。
 
 しかし、そんななか、『浪花阿呆鴉』の熱烈なるファンの方々から、再演希望の声がアチコチで上がり、署名運動みたいなのも展開されているそうな。

 誰にお礼を言えばよいか分かりませぬが

 どうもありがとうございます。
 我々も、また出来たらいいねえと、やってる最中から言い合っていました。

 そういえば
 つい忙しさに取り紛れ、『浪花阿呆鴉』の千秋楽のことなど語り忘れていました。
 『バイトショウ』の稽古を抜け出し、駆けつけたワケですが。

 噂には聞いていたけど、凄い盛り上がりになっていて
 当日、客席ではファンの方々が用意した、特製の阿呆鴉小旗が秘密裏に配られていました。
 
 裏には丁寧に、
 カーテンコールの時、サプライズで一斉に振って、キャストに見せましょう。

 なんて書いてある。
 それを出演者はその時まで知らず、ホントにサプライズで称えられて、皆、感極まっておりました。

 カーテンコールの時、月乃助さんに呼び出されて、私も舞台にあがらせて頂き、ご挨拶させい頂いたんですが、舞台から見た、阿呆鴉の小旗の波で揺れる客席の眺めは、
 それは壮観でありました。

 で私までがしゃべって、いよいよ、終わりの終わりで、で幕を下ろして、
 いかにも商業演劇的な、幕裏での三本締めなんかやろうと、偉い人とかが準備に入っても、

 まだ客席の拍手は止みません。
 どうする、と一同、顔を見合わせ、

 とにかくもう一回、開けよう、全員で手をつないで一列になって、

 と指示が飛び、私もキャストの混じって手をつなぎ、一列に並びました。
 またしても熱烈な拍手。一同、涙に濡れています。
 で、皆でつないだ手を、一斉に高々とあげて……

 とその時です。

 ピキピキッーーーーーーーーーピキッっっつつつつつつつつつつ……

 夏の初めから発症していた、五十肩は回復の兆しなく、この時も右手は肩より上に上がらぬ状態でした。少しひねっても、痛みが走る状態。

 なのに、突然、たぶん成り行きで、アクション系出演者の捕り方姿の若者に挟まれてしまい、両手バンザイをするハメになった。
 しかも若者は感動で、ゲロ泣きしつつ、

 私の手を放さぬようにガッチリ掴んで、力の限り天にふりあげた、

 死ぬかと思いました。
 しかし、一生に何度もないような晴れ舞台、
 まさか悲鳴をあげるワケにもいかず、
 
 オオオオーーーっと叫んだ私でした。
 勝利の雄叫びのように。
 感激に加えて激痛の涙も加わり、凄い顔になっていたはず。

 でも皆が興奮状態だったから、私のオオオオオーもごく自然に溶け込んだと思います。

 さて
 その幕も下ろし、いよいよ、三本締め。

 それでもまだ幕の向こうで拍手が続いています。
 んじゃ、阿呆鴉たち行ってこい、ということで。

 太一クンはじめ五人の阿呆たちが幕前に出て行って、感謝と別れを告げて
 ようやく三本締めとなったのでした。

 合計で5回、カーテンコールの幕をあけました。
 
 月乃助が、前夜の宴会から、ずっと

 長く役者やってきたけどこんな熱い盛り上がり、ホントにホントに久々ですよ
 いや、今までもなかったかも。
 もうしばらく続けたいですよ。

 と何度も何度も繰り返し、その横で、熱血漢・炎の上杉祥三兄さんが、やろうぜったい、やろう、勘三郎に見せたかったでぇー
 すでにこの時、涙目で、何度も叫んでおりました。

 東京にいると、なかなかそういう空気までは伝わらず
 熱く盛り上がっていて、拍手が止まず、一回見た人たちが、その後何度も何度もリピートしているなんて、情報を漏れ聞いても、
 たまたま太一クンのファンだけが、熱くなってるだけじゃないの、なんてむしろ冷静に聞いてしまったりするんだけど

 実際にあの熱さの中に立つと。その熱さは決して、太一クンとか月乃助だけのチカラじゃなくて、

 早乙女と歳だけ同じ 野田翔太 (謙介川柳)

 まで含めた、企画とスタッフとキャストとそして客席とが一体になって産んだ、ものなんだと感じました。

 あの日の出来事を思い出すと、今もうずく右肩の痛みとともに、熱い熱いものが、胸にグッとこみ上げてきます。
 正直に言えば、ついに満員御礼は出ずじまいの、商業演劇としては決して大成功とは言えぬ公演だったはず。

 それが見たお客様から、こんなに再延希望の声があがり、署名集めみたいな事まで起きてるなんて、これ以上の喜びはありません。

 今はそれぞれの仕事に取りかかり、それをしっかりやり遂げて
 また集まれたら最高です。

 応援して下さった皆さん、どうもありがとう。
 私からも、劇場の人たちにお伝えします。
 
 

 
 
 
 

 


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