宇野亜喜良さんとか、通しとか

 午前中に、宇野先生のアトリエまで。
 すばらしいポスターのお礼に。

 すぐに帰る予定だったのが、いろいろとお話しして、つい長居する。
 テラヤマは、我らの世代のアイドルである。
 宇野先生のデザインは、横尾忠則氏とともにテラヤマワールドを創り上げてきた伝説のクリエイターである。

 縁あって、今回、そんな方に、デザインをして頂けた。
 記念碑的なポスターになったと思う。

 この絵の中にはさまざまな物語のカギが秘められている。
 深く、物語を読み解いて、描いて下さっているのである。

 見かけたら、ぜひ一時、じっと眺めてみて下さい。
 絵が、物語を語り始めるはずだ。

 さて、その後、稽古場に。
 ナムヒが、連日泣きすぎで、そこをイチイチ擦るので、物もらいが出来たという。
 道案内の江原と通訳のムーニィがお供して、眼科へ。

 断っておくけどイジメで、泣かせているのではありません。
 ちょっとした小返しでも、全部、本息で演じるので、何度も何度も涙を流すことになるのである。
 それにしても、ソウルにいるときから、病気になるほど読み込んできた台本で、今なお、こうして入れ込める、そのはまり具合に、感心する。

 診察の結果は、
 物もらい。

 保険も何にも持ってなくて、診察と目薬だけもらってきて、9千円。
 外国で病気になると高くつく。
 我々も向こうで気をつけなゃならん。てか、ちゃんと保険に入って行こうと話し合う。

 その後、二度目の通し稽古。

 まだまだ、修正点はあるのだけれど、
 本物の異人が演じる、異人の女。

 しかも、
 狂気と隣り合っているような、ナムヒが、全身全霊をかけて役に憑依する。

 普通の稽古とは違い、途中で止められない、通し稽古を迎えて、その演技本能が全開になったようで、

 ろうそくの灯りの中、怪しい妖気さえ漂うな気配がした。

 そんなナムヒに引き込まれるようにして、
 扉座のベテランも、テンションがあがる。

 月末まであと、まだ何回も通し稽古があるとは思えぬ、濃密な空間が出来上がっていた。

 まだ何が起きるか分からないし。
 ナムヒも、この調子がキープできるかどうか、それは甚だ不安ではある。

 現に、
 仁川の仕込みでは、連絡の行き違いがあって、この期に及んで、大幅な予定変更を余儀なくされた。

 この先も多難にして、余談の許されぬ状況であることは変わりない。

 しかし、少なくとも、今の段階では、
 この芝居、私の予測を大きく超えて、

 スゲエもの

 になりそうな気がしている。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 


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