春の別れ

 月曜日は、新羅生門 の千秋楽。

 仙川で打ち上げがあった。若い座組の諸君は、別れがたく、何度も何度も、再会を誓い合い、話し込み、笑い、泣く。

 こちらは、さまざまな千秋楽に慣れきって、まあ、またどこかで。
 みたいな気分なのだけど、そのテンションが激しく違う。

 でも、我々も若き日は、一つ一つの公演が、愛おしくて愛おしくて、エネルギーの最後の一滴が果てるまで、打ち上げをやってたもんだ。

 今はもう、どんなに盛り上がった公演でも、翌日のこととか考えて、ちゃんと帰って、その夜のうちに正気の吾に返るのである。

 つまらないといえば、それまでだけど。
 それでも、打ち上げの喧噪から、早めに離れて町の雑踏のなかで一人になった時、
 しみじみと胸に残る、熱い劇場の記憶みたいのがあって

 それもまた、趣深いのである。

 そして今日は、冷たい春の雨。

 1月に生まれた子犬たちの別れの日が来た。
 3匹生まれたうちの男の子2匹が、町田の私の妹の家と、
ずっと懇意にして頂いている、菊池プロデューサーのお宅の子になった。

 どちらもすっかり大きくなり、昨日まで取っ組み合いの喧嘩に明け暮れていた。
 それが今は、灯が消えたように静かです。

 結局、女の子だけが残ることになりました。
 名前は、ミランダ。

 またしても大仰な感じですが。
 「テンペスト」に出てくる15歳の少女で

 無人島で育ち、15歳にして生まれて初めて人間を見て
 「お父様、あの美しい生き物は何?」
 というセリフで有名な子です。

 子供たちが、元気に育つことを祈りつつ。
 そして、
 私は明日から、秋田・角館です。

 あちらは雪だろうか。

 
  


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