愛媛より 春の便り
今朝は雨だけど、ずいぶん温かくなってきた。
花も咲き始めている。
私のアタマの中も、そんな陽気や毎日浸かる温泉に、溶け始めていて、
こないだなんか、財布を落として、ずーっと気づかず半日過ごした。
晩飯の時に落として、そこから一晩、朝も過ぎて、そろそろ稽古場に行かなきゃな、と支度した時にやっと気づいた。
かるく狼狽えはじめた頃、
財布は、皆で夕食を済ませたお店から、稽古場に届けられていると、知らせを受けた。
その夜は、ラッキィさんご夫妻にゴチになってしまって、財布に触れずに過ごしたのだった。
ここは正直者さんたちが住む良い町です。
ちなみに、この敷地の道一つ隔てた向こう隣は、
松山刑務所。
刑務所と一年新作ロングランの『奇跡の劇場』が並びあう、なんだか江戸の、伝馬町とか小塚原と、浅草・両国の関係みたいな罪と悦楽が交差する、ステキなホットポイントである。
でも、財布はちゃんと出てくる、素晴らしい場所。
こうしてアタマがゆるんでも、まったく安心。
隣の悪党諸君も、晴れて出所の暁には、ぜひここの温泉と、劇場に立ち寄って、『幕末ガール』をご覧頂き、娑婆の情けに浸って欲しいと強く願う。
荒波を超えて人生を生きる、人たちに届けたいメッセージがある舞台なんだ。
稽古はそろそろ佳境に入る。
音楽も出そろって、振り付けもカタチになってきた。
間もなく、セットの立て込みも始まる。
一年ここでやるんだから、ここでしか見られないモノを創ろう。
それを合言葉に、少ない予算を知恵で補い、スペシャルなものに仕上げていく。
たとえば、わざわざ東京から来ても、その甲斐があったと言われるようにな。
そこの部分のアタマはまだ溶けてないので、安心して欲しい。