新年のお喜びを

 あけましておめでとうございます

 今年も劇団活動を中心にしつつ、頂いた他の仕事を織り交ぜ、アレコレ創り続けて参ります。変わらぬ、ご贔屓お引き立てのほど、御願い申し上げ奉りまする。

 今年58歳の歳を迎えます。
 私たちが子供の頃は、会社員の定年が55歳と言われておりました。あとは隠居の流れであったワケです。
雑に言えば余生です。
 しかし、今、我が身を顧みるに、余生感は欠片もなく、ずーっと勉強中、修行中の感じで、頼りないこと甚だしい。昨秋の公演中の楽イブナイトで、六角精児が私の劇作生活40年に贈る歌というものをプレゼントしてくれましたが、その歌詞に
 『誰よりもアンタが青春だ』
という一節があり、苦労してる座頭をおちょくんじゃねえよ、と思いつつも、そうかもな、と妙な納得と感心をしてしまいました。

 その通り、永遠の青二才、なんだ。

でもね、これは同世代の人たちには確実に共感してもらえると思うんだけど、俺らが思ってた58のイメージはもっと老いてたよな。昨日の紅白見てて思わなかったかい?(茅野イサムの刀剣乱舞もたいしたものだったけどさ)

 淡谷のり子はどこに行ったんだ?
 蛍の光 の指揮は、藤山一郎先生だろ?
 都倉俊一って、そんなチャラい若輩に任せていいのかと、思わなかったか?

 昨夜、桑田とユーミンのツーショットで盛り上がってたのは、俺らの世代の人々だろうよ。でも、俺らが子供の頃は、こういう音楽家たちは紅白には出して貰えないイカレタ若者と呼ばれていたはずなんだぜ。
 俺は幼少期から、ジュリーのファンだったんだけど、タイガースとか初期のジュリーは、髪の毛が長いと言うだけで、公序良俗に反する者たちとして紅白は出して貰えなかったんだぜ。

 自分たちが、大人になった時、こんな光景のただ中にいると想像したかね?
 俺は自分が58になった時には、会社の重役になってて白髪で、大晦日とかは着物とか着て、炬燵で初孫とか抱いて、重々しく 紅白歌合戦~ゆく年くる年 を見てるもんだと思ってたよ。

 実は今、髪は染めてて、ほっときゃ白髪ではあるけどさ、着物は持ってもないし、マンション住まいの我が家にコタツはない。孫もおらん。
 で、ユニクロの部屋着でサザンとともに、ラララと歌って年を越した。

 つまるところ、まあ、これはとても幸いなことでもあるんだが。
 生きている、ワシらの人生はまだ当分、青二才としてダラダラと続くんである。まったく重みも増さずに、胸騒ぎの腰つきとともにな。
 しかも、うっかりするとここから百まで続くと言うのだよ。
ワシはそんなにいらんと思っているが、うちの父を見ていると、87にして、扉座公演の受付に自力で立って、
 いらっしゃいませ、やってんだから。
 糖尿とか、かつて結核までやって、決して健康体の人じゃないんだよ、うちの父。それでも、若い劇団員たちに交じって打ち上げで、俺の5倍ぐらい焼酎飲んでるからね。
 その血をひく俺も油断はできない。
 
 これはもう、俺たち、子供の頃に、昭和の大人たちの姿を見て学んだ人生観とは、また別の人生観を用意しなきゃ、とてもやっていけないよ。
 これからは百歳超えたからって、タウンニュースにも載せて貰えないからな。ニュースになりたきゃ、百二十辺りを超えていかないと。

 劇団なんてね、特に、大戦前から終戦後辺りの新劇活動の後に流行った、アングラから小劇場ブームのころの劇団は、若者の文化だったんだよ。大人になったら卒業するものだと皆思ってたし、そういうものだった。
 でも、今、ワシらは、それを大きく超えて、前人未到の領域に踏み込んで来たと思っている。
 そして、つまるところ、続くんである。
 もちろん、この先に何が起こるか分かんない。明日、解散とか、引退の日が来るかもしれないよ。意思とは関係なく、そういう事情が生まれたらしょうがない。
 もう十分やり切ったと思うから、それほど悔いはないんだ。
 劇団にしても、芝居にしても、さ。

 ただ、自分が間もなく還暦を迎える今、ここから見えている風景が、子供の頃、或いは若者の頃、思ってたのとあまりに違うもんだからさ。
 この風景の中になら、もう少し溶け込んでいられるな、と思うんだ。
 その上で、さらに違う風景とか、人生観とかを創り出して行けたなら、モノを創る人間として最高に幸せだとも思うんだ。

 何が言いたいかと言うとね、これからも扉座と横内をよろしく、更に趣深くなると思うからさ、と言うことです。

 それとお知らせ。(少しだけフライング情報で)

 この春から、私の年齢から上の世代の方たちを対象とした、演技アカデミーのようなものを立ち上げる予定です。
 
 厚木市文化会館では小学校四年生から。
 横浜・神奈川青少年センターでは、ミュージカル系で高校生から20代後半まで。
 錦糸町では、扉座研究生として、高卒から大人まで。

 ここにシニアのアカデミーを加えて、ついにゆりかごから墓場まで、という扉座世界演劇化計画が、実現に向けて大きく動き出すこととなります。
 
 詳しくは近々あるはずの正式な発表をお待ちください。


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