初日

 ゲネはうまくいった。
 優秀なスタッフのおかげ。
 稽古場から、ゲネまで、私は大声のひとつも出さなかった。
 
 ヤル気かないんじゃなく、血圧が低いのと
 そもそも怒る必要がなかっただけです。
 
 あとは、公開するのみ。
 
 芸能人は本番に強い。

 とくにガキの頃から、ライブで鍛えられ、数々の断崖絶壁、修羅場をくぐってきてるジャニーズ構成員たちのスゴサは、今まで何度も見てきた。
 とにかく頼りになる。
 イタの上で育ったヤツにはかなわないと、普通の学校で、育ってしまった私は思う。

 まっすーは、
 ボクもきちんとスイッチは入りますが、
 稽古で出来ないことは、本番でも出来ないタイプです。
 と言ってたけど、
 
 いやいや
 関係者だけど、とりあえず客席に僅かでも人がいる状況になると、やっぱり違う何かが光り出す。
 稽古では見えなかった光がちゃんと出る。
 更に本気のお客さんが入ったらどうなるのか、とても楽しみ。

 遠藤要も、舞台稽古ではセリフ忘れまくり、飛びまくりなのが嘘のような、完成度だった。

 要氏は、イタというよりストリートで鍛えられ、育ったという話だけど。
 やはりヤワな学生演劇あがりには追いつけぬ、
 アウトローの凄みとしたかさが表現にも溢れていて

 こういう野生動物のような本能的な営みは、半可通のインテリ演劇あがりには、ちょっと分からぬ領域だ。
 つくづく、わざおぎ とは、
 人を超えた、精霊の一種なんだと思い知る。
  
 一方
 稽古場は番長なのに、本番に滅法弱いのが、私のルーツでもある学生演劇、小劇場系。
 実際、アングラ時代には、公演しないで、基礎練だけ5年続けている、劇団なんてのも早稲田にはあったそうな。鈴木聡氏が語っていた。
 なんで公演しないのか聞いたら
 
 まだその時ではない、と公演しない劇団の座長は答えたそうな。

 お坊さんだね。だるま様だ。
 いつか悟りが開かれるのだろうか。
 それはともかく、
 
 今日は
 お昼に一回通して、その後の本番で、さらに精度は上がるはずなんだけど、
 きっと緊張で、いろんなことが起こるだろうね。
 それも含めて、楽しみな1日。

 でも、多少のミスなら、愉快に笑えるぐらい、皆が芝居を掴んでいる感触を得た。
 役がもうカラダの中に入りはじめてる。
 転んでも、ヨシさんだったり、秋子だったり。
 
 ともあれ
 自信をもって、お客様にお届けできる作品に仕上がりました。
 暑い夏が去って、気が付けば秋。

 今年は、また格別に、忘れられない夏になりました。
 最後まで、どうぞ応援ヨロシクお願い致します。
 



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