再び ナル友たちへ
ナル友たちへ
この4月2日、人生初の手術&入院をしました。
病名は 痔 です。内痔核根治術というのを受けた。
簡単に言えば、いぼ痔を切除する手術です。
以前、同病に悩む人たちに向けて、頼まれてもいないのに、内痔核の日帰り手術
アルタ法 についてこの日記で細かく記しました。
で、爽やかに治った、つもりでいたのですが、その後、再発してしまい、もはやこの簡易術では回復しませんね、と診断を受け、手術に踏み切ったのでした。
アルタ法を実施して下さった近所のお医者さんに紹介状を書いて頂き、都内でも 痔 の分野で名高いという病院をご紹介いただきました。
私の執刀医の先生は、ためしてガッテン! の痔特集で、ゲスト出演もされたそうです。
前日に入院して、2日目の朝に手術、その後1週間入院でした。
はじめ1週間入院と聞いて、長すぎると思っていました。
で、4月は、扉座新作 北斎ばあさん 執筆の予定もあったので、ちょっと缶詰になるぐらいのつもりで、個室をリクエストし、PCを持ち込んで、芝居を書く気まんまんでした。
実際、手術は30分ぐらいのもの、下半身麻酔で意識ははっきりとしていて、痛みはゼロ。
手術室でなぜか、スピッツのアルバムがBGМで響き続けていることに、内心笑ってる余裕もあった。
なぜ、スピッツが……と。
あとでナースに聞いたら、先生の趣味では?との回答でした。
リラックスできて良いなと私は感じました。
痛みは感じないけど、シーンとした中に、我が身が切除される変な音が聞こえて来るのは怖いしね。
ちなみに曲をリクエスト出来る病院もあるんでしょうか?
私なら、何にしたかな。
頑張って立ち向かってゆくイメージで、AK69 とかね。
そして手術終了の時に、
イボというには大きすぎる、血塗れの小さな肉片3つを先生に見せて頂き、
「大きかったですねえ」と感心されたりして、
ああ、こんものをお尻の中に育てて、そりゃ快適に生きられるはずはない、
(実際にこいつらが時に肛門からはみ出す、所謂脱肛状態にもなっておりました)
思い切って手術に踏み切って、オサラバして良かった、とその時は思いました。
切らなくても、生死にかかわる病気ではないのです。
とにかく、自分の決意が大事な行為です。
しかし幸せを噛み締めたのも束の間、その後、麻酔が切れてから
実にほぼ2週間、私は
なんでこんなことしてしまったのだ!
とその決意を激しく後悔することになりました。
とにかく、私には痛い毎日だった。
術後は、痛み止めを飲んで、ひたすら横になっているわけですが、
排泄はしなきゃなわけで、ゆるくする薬を処方されていても、
何しろ、そこは切って縫い合わせたばかりのところ、じっとしてても痛いのに
何かが通過するというのが、痛くて苦しくて。
普通、傷口というものは、なるべく触れないようにして、とにかく動かさぬようにして労わって過ごすものです。
が、肛門はそうはいかない。
この手術の場合、術後1日はお粥だったけど、その後は何を食べても良いとされます。
病院食も、普通のモノが出されていました。
当然、おしりも活動することになる。
でも動けば痛い。
軽い出血は続くし、傷口から沁み出る何かの液も出るし、それは想定内という説明でしたが、自分で頻繁にガーゼを取り換える必要もあって、その度に気も滅入る。
また、体を起こしてじっと座っているのも、約10日以上、強い苦痛を伴いました。
PCを持ち込んだけど、結局、普通にいじったのは、手術前の夜だけ、
芝居の新作を書こうなんて、そんな状態にはとてもなれなかった。
痛み、苦しみ、というものは、創作意欲を激しく削ぐことを思い知りました。
本当に痛いと、芝居なんかどうでもよくなる、んだな、と。
長いと思った入院も、いよいよ明日は退院という夜に、これで退院して良いのか、と
不安になるほどでした。
帰宅しても、約1週間はまともに机に向かって、芝居を書く、なんてことは出来なかった。術後2週間後かな、我慢できないような痛みが消えて、騙し騙し、仕事に取り掛かることが可能になったのは。
根治手術を受けた人たちの体験談みたいなのをネットで拾っていたら
思い切って良かった!
今はすっきり!
もっと早くやればよかった!
みたいな声ばかりだったので、その気分で待ち構えていたのですが、
私的にはかなり裏切られた感じでした。
で、その後、術後の痛みはいつまで?
みたいな感じで検索したら、私と同じように、
しばらくは激しく後悔した!
痛みはひと月続いた!
まだヒリヒリする!
みたいな証言も多々あって、こっちは見落としていたのだなあ、俺は甘かったなあ、と己の迂闊さを噛み締めました。
ただ、ほとんどのナル友(アナルの同志たち)が、一時の後悔や絶望からは、やがて脱して今は、決断を是としているニュアンスなのが目下の希望ではあります。
実際、私もひと月以上たってもう、痛えよぉ、という感覚はほぼ消えました。
まだ違和感や、ヒリヒリ感は残りますが、、
ただ、この間の学びもありました。
私としては、これも通過すべき試練だったな、と。
いろんな病苦を抱えておられる方々には、その程度でと叱られそうですが、
初めて体内にメスを入れられて、
痛みに耐えて、数時間じっと病室の天井を見つめてみて、
そんな病床から、もう生還はないと知りつつ、末期がんの日々を過ごした親父がどんな気持ちでいたのかとか、
やらなきゃ!と思いつつも、痛みや苦しみで、役目や仕事に向かえない、焦りとか、絶望感とか、
ああ、このままの感じで病院のベッドで息を引き取るみたいなことが、いつか私にも訪れる日が来るのだなあ、と今まで以上にリアリティを感じつつ夢想したりして、
小さな経験や実感を引き延ばして、芝居に膨らませるのが、私の生業な訳ですが、こういうことも知っとかなきゃイカンな、と思いました。
アナルというデリケートな部位のことで、あんまり人に知られたくないことではあるけど、行きがかり上こうして、恥も外聞もなくご報告しております。
密かに悩む、ナル友の皆様へ。何らかの手助けとなる情報になれば幸いです。