雨を止める トラトラトラ!
『踊るアジア』のためにバリに行ったのは、去年の1月。
ヌガラという、車で三時間の田舎町まで、竹のガムランを聴きに行った。
これが素晴らしかったことは以前書いた。
この時期は雨期だった。
で、演奏の前には、村の祈祷師が、雨を止めるお祈りをする。すると、
演奏中は降らない。
のだ、とガイドさんは言っていた。
この時は雨期なのに、そんなに雨に降られなかったので、まあ話半分に聞いていたのだった。
その日も朝から一回も降ってなかったし。
で、演奏が終わって、また三時間かけてホテルまで帰り着いて、車を降りたその途端である。
南国のスコールが、
どひゃーアアアアア!
という感じで襲いかかってきたのだった。
たちまち下着までズブズブになった我々だった。
ガイドさんが言ったものよ。
帰り着くまで止めてくれたのね……
あとで聞くと、近藤正臣さんも、まったく同じ、ヌガラ旅行で同じ体験をしたのだという。
そんなことを思いながら、
金曜の仕込みから、土曜の夕方、日曜のお昼の公演まで
私なりに天に祈ったものよ。
即席祈祷である。
高校の頃、通い慣れ、いつも見上げていた大山。
西の大山が見えていれば、雨は来ない。
大山に、雲かかるな!
金曜日の仕込みは少し降られたものの、
土曜、日曜は、何とか持ち堪えた。
とくに、日曜は、終わって20分ぐらいして、降り出した!という、奇跡的、雨回避だった。
ちょっと寒かったけどね。
でも、我らは、初野外にして、空と友達になった。
このことは記憶に止めておこう。
これは訪れた、大人達が言ったことだけど、
文化会館の中庭に、しつらえた舞台。
池を渡る花道の橋とか、庭のタチコチに立てた『トラ』のインスタレーションとか。
それらが生み出した異空間が、とってもいい感じで、いろんなことココでやりたいねえ、と。
何の変哲もない、ただの庭が、インスピレーションを与えてくれる場所になったのだった。
天候とか、気温とか、心配は多いし、なんでまたこんな面倒くさいことわざわざやらねばやらんのや、と。
自問したこともあったけど、
土曜日の夕方、まだ明るい5時から始めて、虎の出る頃に日暮れが来て、
容量問題で、たった3発しか置けなかったライトで、
それでも充分に幻想的に、本物の夜の中から、我々のトラが浮かび上がって来た姿を見て、
ああ、やって良かったと思ったのであった。
かくして
倉庫と庭と、まったく違う二つの『トラオ』が、出来上がった!
ともに、「児童劇」を超越して、極めてラジカルで、野性的な、言葉と肉体のリアル演劇であったと、それは自信を持ってご報告する。
ご協力下さった皆さん、見に来てくれたお客様、どうもありがとう。
さて、これにてまた一つ終わり。
気が付けば、4月。
今日、明日は久しぶりに『轟組』の作業がある。
そしていよいよ、
韓国に行く『お伽の棺』に取りかかる。
詳細は間もなく発表します!
いろいろ準備が大変で、皆様にはお知らせが遅くなっております。
もう少しお待ち下さい。
あと、9月の、厚木市文化会館30周年記念音楽劇の応募者が、
お陰様で昨日の時点で200名を越えたようです。
このオーディションも間もなくあります。