新・水滸伝

 昨夜、初日。
 何しろ、時間がないなかで、仕上げなくてはならない上に、責任はとてつもなく重い任務で、ここ数日、心底くたばっておりました。

 で、昨夜の初日、ちょうど幕が下りたところで、私の電池もきっかりと残量ゼロ、という感じでありました。

 乾杯を終えて帰宅し、抜け殻となった身で女子サッカーをぼんやり観つつ、気が付けば、そのままソファに討ち死に、最近猛烈な思春期のモーに抱きつかれて、夜中に目を覚ました、という具合です。

 で、
 肝心の『新・水滸伝』ですが、昨夜は初日でおそらく応援のお客様も多かったこともあり、
 予想以上に盛り上げて下さいました。

 かなりたくさんミスもあったのですが、暖かな客席に救って頂きました。

 稽古場から、劇場に入ってからも、久しぶりの新作ということで、俳優諸君もスタッフもかなりナーバスになっていて、
 楽屋も舞台もビリビリで、
 
 ホントにこれ、面白いんだろうか、という不安が漂っていました。
 つい最近やってたのがスーパー歌舞伎で、比べる基準は、常に超大作、
 そもそものハードルが高いというのが、この一座ですし。

 でも、昨夜幕が開くと、集まったお客様達が、ケッコー面白いよ、と客席からエールを送って下さったと思います。

 で、最初は、本当に珍しく、部屋子さんたちまでがガチガチになって、セリフを間違ったりしていた硬い舞台が、拍手や笑い声など受けて、徐々に温まってゆき、
 後半は、歌舞伎組らしく、一気にエネルギーを爆発させていたと思います。

 猿之助さんからは、終わった直後に、

 「うまくいきましたね」

 とひと言だけ頂きました。
 
 でもこのひと言が、今回どれほど重く、嬉しい言葉であったか。
 細かく語ると、これは本一冊分ぐらいになるので、
 機会を改めて、いつかちゃんと言葉にしたいと思います。

 台本を書いている時から、稽古場に入り、さまざまな困難と闘って、なんとかカタチにしようもがいていた頃、

 これ、無事に初日が開いたら、泣くかもな、
 
 なんて思っていたのですが、
 それより何より、張りつめていた力が抜けたというのが、正直なところで、

 涙なんか一滴もこぼれず、ただ久しぶりに、ああ、お腹が空いた、と
 そう思ったのでした。

 思えば、この2週間は、お腹が空いた、という感覚すら希薄でありました。
 日頃は乾杯の席の食べ物などあんまり口を付けないのですが、
 ご飯の如く頂いたのでした。

 帰りがけ、多くの方から、良かったよ、と声をかけて頂きました。
 月末まで、アッという間の短い公演ですけれど、終盤に向けて、舞台も客席も益々熱くなってゆくことを願って止みません。

 皆様、どうぞご声援をよろしくお願い致します。
 
 
 ともあれ、新・水滸伝 開幕しました。
 
 さて、ここから私は厚木の『リバーソング』に全力を注ぎます。

 今日は錦糸町で、榊原郁恵さんとの、稽古です。

  
 
 
 


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