郡上八幡のアマゴ

 稽古を三日ほど、休んで郡上八幡というところへ行っておりました。
 主な目的は釣りであります。

 この忙しい時に、何やってんだという感じです。
 平栗さんなんか、バカンス旅行どうぞお気を付けて、なんて、目が笑ってない笑顔で見送って下さいました。

 しかしこれは取材です。
 今度、サツキマス という魚を題材にしたモノを書きたいと思っていて
 それは、長良川などに生息する珍しい大魚なのです。

 鮭みたいな、川で生まれて海に出て、大きくなって海から遡上してくる魚です。
 岐阜の郡上八幡は、そのサツキマス釣りのメッカなのですね。

 ただし、サツキマスは
 私のような素人が、いきなり行って釣れるモノではありません。
 かなり本格的な釣り人でも、シーズンごとに20年、かの地に通い詰めて、それでも一度も釣ったことはない、というようなものです。

 だから
 サツキマス釣りは、到底不可能なのですが
 このサツキマスという魚、実は前身は アマゴという川魚なのですね。
 アマゴは、鮎によく似た感じの、魚です。
 で
 このアマゴの中から、突然、数匹が、川を下って、海に出て、何十倍のサツキマスになって帰ってくるのです。

 このあまたのアマゴの中から、数匹だけが、故郷を捨てて川を下って大海を旅し、やがて、見違える大魚となって帰ってくる
 というところに
 私なりに、以前から、ドラマを感じでいて
 エッセイなどにも、いつか芝居にしたいと書いてきたワケです。

 そして今回いよいよ
 そのメッカを訪れるにあたり
 とりあえずは、アマゴを釣ってみようじゃないか。
 言うことになったのでした。
 一度も釣りをしたことなくて、
 アマゴだサツキマスだと、書くのは、礼儀に失するものでありましょう。

 諸事情あり、この予定は半年前から組んであったモノなのであしからず。

 この取材の詳細は、また後日、報告するとして、
 とりあえず
 釣果だけお伝えすると
 二日、川に出て、
 天然のアマゴを一匹釣り上げました。
 んで 
 さっそく塩焼きにして、頂いて参りました。

 なんだ一匹かよと、笑うことなかれ。
 初めて釣り竿を握るような素人が、アマゴを釣り上げるなんて、極めて希有なことなのだそうですよ。

 ただ
 私の場合、著名な郡上の釣り名人のお二人が、トレーナーとして付き添って下さったので
 いろんな意味で、ラッキィであったのですが
 
 それでも
 大事なところは外さない、この実力
 
 やっぱり オレは持ってるねえ と
 自惚れるしかない結果でありました。

 ただ
 吊り上げたときは、

 とったどー!

 と叫んでやろうと決めていたのに、いざ釣ってみると、
 グワア、ウオー、つつつつつ、釣れだああああああ!

 みたいなことになって舞い上がり
 そんなキメ文句、すっかり忘れてしまいました。
 
 さて 
 今日日曜日は
 稽古場に戻って『百鬼丸』。

 私が不在の間も、皆は、思い出し稽古とか進めていてくれて
 今日は極めてスムーズに進行しました。

 バカンス如何でしたか?

 平栗さんは、目が笑ってない笑顔で、優しく出迎えて下さいました。
 バカンスではありません。
 平栗さん、

 取材旅行です。



 
 
  
  
 
 
 
 


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