郡上八幡から 厚木から
厚木公演を終えて、帰宅しました。
今回の芝居は、徹底したセリフ劇です。
そして、物語的に、リアルに寄ったものになっています。
なので、いつもと比べて、扉座にしては地味すぎないか、とか、サービスなさすぎじゃないかとか。
心配の声も、正直、近辺に起きてはいました。
でも
私としては、ちょっと自信がありました。
確かに、あんまり、キャッチーで派手なことはしてないんですけど、
その分、芝居で見せられるはずと、信じていました。
どんなに楽しげに、賑やかにやったって、客席で眠る人は必ずいるもんだし、劇場に来た理由なんて、観客の数だけあるわけで、
皆さんに、退屈ないように、なんてそもそも不可能な話なのです。
ただ
我々は劇団で、芝居を創るのが第一の仕事です。
そして芝居とは、言葉を主とする戯曲と、俳優の演技で、出来ているのが基本で、そこを極めることが何よりの誠意なんだと。
もちろん、それは毎回やっていることなんだけど、
今回は、その純度をいつもより少しあげてみようかな、と思い至ったのです。
特に近藤正臣さんとは、エンタテイメント作品として、ひとつ アゲイン 〜怪人二十面相の優しい夜〜 てのを創って成功してますから。
商業演劇なら、二匹目のどじょう を狙うのは正攻法ですけど、
せっかく劇団でやるのに、頼まれた仕事みたいにやるのはなんか嫌だなあ、と思ったのです。
で
ガラリと変えた、芝居をこしらえようと。
で
きっちりと変えた作品になっていると、思います。
もちろん
人によって好みもあるし、さまざまなご意見があると思います。
厚木2ステージやってきた感触では、とても良好な感じなんだけど、
まあ
意見を聞かせてくれたのは、身近な方々ですから。
そうそう辛口のご批判はあんまり耳に届かないワケで。
そういう意味で、これからの新宿ステージの反響に、その成果の判断は委ねたいと思います。
今日、言われて、ちょっと嬉しかったのが、
なんか自然に涙が出てきたよ、と。
悲劇を描いたワケじゃないし、それほどドラマチックなことが起きるワケでもないんです。
人々の春秋を包み込んで、故郷の川は流れ続ける、みたいな話で。
だけど、そこに共感して貰えたらと、願っていましたから。
あと郡上八幡から、わざわざ、見に来て下さったという方がおられました。
郡上八幡を描いているのではないのです。あくまでも、架空の小さな町の話で。
しかも
かなり、しょぼい町のように描いていて。
ただサツキマスで、やらー とか がー とか、土地の言葉をお借りしていて、そのモデルとなっているのは確かです。
その郡上の方が、これを観て、とても喜んで下さいました。
ほっとして、安心しました。
正直、新宿公演の座席はまだまだ売るほど残っております。
なので
ぜひ、見に来て下さい、と声高にお願いしたいところです。
けれど
何というか、
これだけのものをやって、人が集まらないというのなら、演劇界にそっと失望しつつ、その現実を受け入れてみようかという気持ちになっています。
今回は芝居が人を呼んでくれる、はず。
と素朴に信じてみようと思っています。
