二枚目俳優の素顔

 稽古場の最後の日に撮った、サツキCMが手違いで、公開が延びて、今頃、アップされています。

 まあ
 情報としては、たいした内容じゃないないんです。なので見始めた方も、最初の数秒で消してしまってるかもしれない。


 でも、ちょっと我慢して、見続けてみて下さい。
 変なものが、画面に現れてきます。
 
 まるで
 ロケを見物に来た、近所のガキですね。
 大人どころか、もはや、大御所なのですけど。

 しかし
 この方、我々も知らない昔は、日本一の二枚目で、よくキザつぽい男の代名詞に使われていたし、
 物真似の対象だったし、

 こんなとこに、フラっと顔出すような、気さくな存在じゃなかったはずです。

 もちろん大スター故、たぶんに作られた伝説もあるだろけど、実際、いろんな人に聞くと、
 近寄りがたい雰囲気も多々あったという。
 一匹狼的な存在で、なれ合いのグループみたいなのは、大嫌いだったというし。

 ご本人もそれらしいことは仰ってました。
 ずっといろいろ、人に逆らってきた、みたいなこと。
 よく言えば、自分を曲げてこなかった、ということですが。

 しかし、
 この五月、郡上八幡の別邸におじゃました時、観た、この大スターの姿に、かなり感服致しました。

 何というか、
 見事に、フツーのオッサンになっておられるのですね。
 あの町の、ごく普通の方々と、対等の友達になって、コンビニでアイス買って、それ嘗めつつ、軽自動車で釣り場に向かう、みたいな。

 夜には、畳屋さんのご友人夫妻がお茶道具、持参で訪ねてきて、お茶を点ててくれる。
 それを気取ることなく、友人たちと、ごく自然にソファに
座り、順に頂く。

 お茶なんて、なんかお高いイメージですけど、この方たちの集まりの中では、とても自然に溶け込んでいて、
 借り物でない身に付いた、一期一会といいますか。

 取材に行ったのは、川と魚のことだったのですけどね。
 この姿にも、とても感服したのでした。

 まあ観て頂ければ分かるけど
 実は。今回の芝居は、そんなことも盛り込んでいます。
 川って、人が身分や財産なんか関係なく、出会う場所ですしね。
 有る意味、自由と平等の解放区である。
 そこで出会う者は、ただの人間同士です。

 以前
 郡上八幡の店で、近藤正臣のサインがない店はないという状況だと言われていました。
 しかし
 彼の地に通い続けてもはや十数年。
 今は、サインを頼まれることもなくなったそうです。
 すっかり町の景色に溶け込んでおられる。

 今はね、
 とくに熟年の男性が

 定年退職して、生き方が分からなくなり、うつになったりしています。
 出世し、役職を持ってバリバリやってたような人たちが特にね。

 なかなかフツーのオッサンになれないのですね。
 仕事以外に、友人もいないから。
 ずっとスゴイ自分でいなきゃいけない、と一人孤独に思いこんで、ますます現状と噛み合わなくなる。

 私なんかも、その危険大だな、と思います。

 だからなおさら、この
 元二枚目俳優の、郡上八幡での、見事に無邪気でフツーのオッサンぶりを、見習わなくては、と思いました。
 そして
 これこそ、カッコイイということだと。

 扉座CMを
 撮影していて、この人が写った時、
 勝手に写りに来ないでと、叱っておきました。

 写ることで、いろいろ手続きが面倒になるんだから。
 そしたら、
 そんなん関係ない、わしがええと言うんやから、そのまま出せ。
 と仰いました。
 なので、言われるままにしてあるのですが、

 関係各位に、この場で、お詫び申し上げます。
 
 
 
 


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