桜 

 一時 東京へ。明日は稽古がお休みなので。

 今は自宅です。
 
 とにかく秋田に行ってから、晴天と呼べる日がなくて、吹雪とか、冷たい雨とか、とにかく基本、曇天で、
 春なのに、と ひとりごちていた。

 で
 今日、久しぶりに、帰宅して、春の気配と、桜を楽しみにしていたのに
 上野を降りて、いきなり寒く、さらに冷たい雨。

 もう私には 春は来ないのかしら、と不安になる。

 しかし
 帰って、犬たちとしばし戯れ、春はまだ遠いけど、
 つかの間、いろんな予定を忘れた。

 3匹の子犬のうち、メスだけが、我が家に残った。
 その子の名は

 ミランダ ちゃん。

 これまた、大袈裟な名前ではある。
 出所は、シェイクスピアの あらし 。

 無人島に住む15歳の女の子。
 人間を初めて見て

 あの美しい生き物は何? という役割。

 もっとも、うちではミイミイと呼んでいる。

 この子が十日ほど、家を空けている間に、一回り大きくなっている。
 ひたすら 抱いて、撫でて、いじり倒す。

 次に帰るのは、たぶん初日の後。

 ここから角館に 行ったきりになる。

 アトム は 冷たい曇天の下、順調に成長している。
 角館は、しだれ桜の名所である。
 これが咲く頃、ここにいなきゃと 誰しもが言う。

 でも、それが咲く頃には、あたしは東京で 扉座にとりかかっている。

 今年は 春とすれ違い。

 まあ、長い人生、こんな時もある。

 数年前は、韓国の桜から 九州、関西、関東、東北 と数ヶ月に渡って、春を追いかけたこともあった。


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