白い世界

 一泊で角館にて、キャスト変更版 アトム の稽古であった。

 こまちで北に向かった。
 昨日のことである。

 盛岡で、列車が青森に向かうのと、秋田に向かうのとに分かれる。
 んで、そこから単線で内陸に入っていく。

 と
 そこらあたりから、ほぼ真横に流れる吹雪きに列車は包まれた。
 そして
 新幹線とは、到底思えぬ低速走行になる。

 雪、雪、雪
 辺り一面真っ白です。

 と
 往年の紅白歌合戦で、南極の昭和基地から応援電報が白組に届く
 まさにそんな、光景である。

 こんなんで、本当に電車は進めるのか。

 不安になるが、こまちは我慢強くノロノロと進行し、角館に到着した。
 6月に行って以来の角館。

 座員の人が迎えに来てくれていて
 車に乗って、
 わらび地区へ。

 その広大な畑を横切る一本道、
 そこにも吹雪が吹き付けて、車のウィンドウの先は、ひたすら真っ白になっていった。

 まるで画用紙の真ん中に向かって進むようなことに。

 このまま
 我らは白い世界に溶けていくのではないか、と思われたものよ。

 北国の人には申し訳ないが
 ここに人が住んでいるなんて、にわかには信じられない世界である。
 
 実際、うかつに出歩くと、わりと簡単に遭難しますから、気をつけて下さいなんて、注意される。
 寒さも半端ではない。

 しかし
 住むのみならず、芝居の稽古なんかしている人たちがちゃんといるのであった。

 白い世界をかき分けて、到着すると、当然のように新・キャストを含む、アトムメンバーたちが稽古場でストレッチなんかやっていた。

 そして顔合わせをして、稽古を。

 稽古途中に、ふいにドスンと音がして、屋根から雪がずり落ちる。
 ウオっとびびるけど

 わらび人たちは、驚きもせず、フツーにしている。
 室内は暖かいので、窓の外に見える降雪は絵のようだけど。
 たくましき芝居者たち。
 だから
 ワラビーなのであろうがな。

 アトム計画が始まって以来、何度か、この地にはやってきた。
 でも、こんな景色は初めてだった。それでも本格的に降るのはまだまだこれからだというのだから、
 恐るべし。

 今日の帰路は、ガンちゃんと角館で こまちを待った。
 ふきさらしの駅のホームで、まこちを待つ、ほんの数分ほど。
 寒さで、奥歯がガクガク鳴った。

 ついこないだまで
 あたし
 ハワイにいたのに。

 
 
 
 

 
 


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