1年後の懺悔

 ただ今、16日の1時間前。
 16日は、我が家の犬、モーツァルトとポーシャの子供たちが生まれた日である。

 長男の ルーチェ(正式名フォーティンブラス)は妹の家に、次男のパックは、ハンズの菊池社長のお宅に、それぞれ旅立ち、

 長女のミランダがうちに残った。

 ところで、去年のこの日、自宅にて朝からポーシャが産気づき、かと思うと、チョウチンみたいな羊膜を途中まで出して、そのままパタリと動きが止まり、
 慌てて、獣医さんのところに担ぎ込んだりして

 えらい騒ぎになったことは、昨年の日記に書いた。

 基本はご自宅で、出産させて下さい。
 と犬屋の先生に言われ、その気で覚悟していたのだが、家人はその日仕事があり、私一人で、心細いことこの上なかった。
 その上の難産である。

 ポーは産道が狭くて、祈りも届かず、結局、1番目の子は、死なせてしまった。
 始まりがそんな具合だったから、その後の3匹が出てくるまで、どれほど祈り、一喜一憂したことか。
 早朝の破水から、昼過ぎのミランダ誕生まで、くたくたであった。

 ところで 
 その日、実は昼すぎから、仙川劇場で 新羅生門 の打ち合わせがあったのだった。
 でも、そんなんでいけるはずがなかろう。

 とはいえ、犬の出産で ともいえなくて、緊急の事故でとか嘘を言って、三時間ほどの大遅刻となったのだった。

 それはまあ仕方ない  と今はいえる。

 ただ懺悔さねばならぬのは

 もうかれこれ15年も前の話だ。
 三木さつき という女優がいて、この子がだね、
 劇団の新人オーディションで、ダンスの指導をするという
大役を若いながらも任されていたわけだ。
 まだ研究所はなくて、入団試験だった頃。

 さつき というのは 初代ハカナ だね。で、劇団のヒロインで売り出し中だよ。

 ところが、こいつがその大事なときに、突然休みやがった。
 理由が
 
 飼い犬が病気になった という。

 私は怒りましてね。
 犬ごときのことで、何たることか、と。

 そんなもの、放っておいて、来いと、叫びました。

 まだあの頃は血圧も高かったのでしょうな。今はもう稽古中に、怒鳴るなんてことは、ほぼないのですが、
 あの頃はまだ大声も出ていました。

 そんなもん、死なせちまえ、とか。

 とんでもないですね。
 自分の病気ならともかく、

 犬の一大事なら、そりゃ休みます。

 仙川劇場だろうが、演舞場だろうが、休みます。

 今更だけど

 さつき ごめんねえ。
 メイちゃん(さつきの犬)、許してねえ。

 
 
 そしてミーたん、ルーチェ、パック、ちょっと早いけどお誕生日おめでとう。
 一回どこかで再会しようね。


 
 
 
 
 
 

 


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