聖地に恩返し
桜木町の青少年センターは35年前、ワタシがつかこうへいの 熱海殺人事件 を見て、その後の人生が決まってしまった場所である。
16才の時の処女作を、高校演劇の神奈川県大会で上演した場所でもある。
その時、審査員だった 清水邦夫さんに誉められて、ワタシも岡森も六角も、すっかりその気になってしまった。
その聖地というべき場所で、
若者たちを集めて、本気の芝居を創っている。
才気の片鱗が、ところどころに見えるので、ワタシとしても欲が出てきて、未熟で当然の人たち相手に、大人げないと思いつつも、つい熱が入り、
大マジモードで演出している。
しかしそれが我が聖地に対する、ささやかな恩返しである。
折しも、神奈川芸術劇場が生まれて、演劇の拠点が、山下町に移らんとしている時である。
今この時に、この劇場に、もう一花咲かせてあげたい。
劇場に育てて貰った演劇小僧が、不遜ながらも、心からそう思って、魂を込めてやっている。
それに若者たちも応えてくれようとしている。
今、最後の追い込みで、稽古も作業も一番苦しい時期だ。
だが
ここを乗り越えたところに、必ず新しい世界が広がっている。
この場所で生まれたり、育ったりした、あまたのアーティストたちが、まさに、この舞台上で体感した、震えるような真実の瞬間だ。
今この時に持っているチカラのすべてを、ここに注ごうとしている若者たちに、ぜひその至福を味合わせてあげたいと願う。
日曜日の最終公演は、今日の時点で満席となった。
あの劇場が満席になる。
想像するだけで、身が震えてくる。
かつては、そんなことは頻繁にあった、神奈川演劇の聖地・青少年センターも、
最近は、熱くならないことが日常となっている。
出し物も少なく、寂しい。
それが、メンバーたちが一丸となって、宣伝などに駆け回った結果、劇的な盛り上がりを見せ始めている。
もう一息だ。
あと少しで、山が動く。
演劇を愛する皆さん、どうかお力をお貸し下さい。
あと10日、ワタシたちはギリギリまで、力を尽くし、
皆さんに、見に来て良かったと思って頂ける舞台を必ずお見せすると約束します。
リボンの騎士 を、どうかよろしく。
