歯を食いしばる

 8月の『ながら』の頃、親知らずを抜いた。
 この歳で、親シラズもないもんだが、歯医者さんが抜こうというので。

 その穴ぼこがまだ塞がらず、そこにイチイチ、何かがはまり込んで、気になること甚だしい。

 口をゆすいでも、なかなか取れないものもあり、
 1日の大半を舌で、つっ突いている。んで、舌がつりそうになったり。
 たぶん、1日の大半、変な顔になっている。

 それはともかく
 9月の始め辺り、朝、口が開かなくなることが何度かあった。
 動かそうとすると、アゴが外れそうな気配がしたりして。

 歯医者さんに、相談したら。
 何か長時間、噛み続けていたりしましたか。と。
 あるいは、夜中に、歯ぎしりしているとか。

 それで、ハタと思い当たったのが

 寝てるときに、ぐーーーーっと、歯を食いしばっている、自分であった。
 睡眠中なので、確証はないんだけど

 オレは、歯を食いしばって寝てる、という実感があったのだった。

 特に、その頃は、アレコレ大変で、アタマも煮詰まっており、パニック寸前のところを、ギリギリで踏みとどまって、毎日、書き進めていた。
 その状況は、『独眼竜』にかかった頃から、ジワジワ迫ってもいたから、かなりの重圧であった。

 辛くて、もう逃げたかったけど、
 逃げ場もないし。
 歯を食いしばって、やり続けるしか手がなかったのである。

 んで
 本当に歯を食いしばった結果、朝、口が開かなくなっていた。
 朝飯を食わねばと思い、ゆるりゆるりと口を開けたら、アゴの奥の方で、バリバリ、ポキポキと音がしたりして。
 コレ、大袈裟でなく、本当の話。

 なんかの病気ナンじゃないかとも思ったけど、書き終えてしばらくしたら、その傾向は、徐々に消え

 今はもうまったくそんなことはなくなった。

 だからやっぱり、台本書きが原因だったのだと思う。


 いつか聞いたことがある。王選手の奥歯がガタガタだったと。
 ホームランを打つため、歯を食いしばり続けた結果だそうな。

 劇作家は、歯よりも、アゴがガクガクになった。
 
 この上はぜひ、この作品が、ホームランになって欲しい。
 
 頑張ってます。応援宜しく。

 今日は、錦糸町で天下茶屋の稽古した後、
 劇団EXAIL現場に行って、通し稽古を見る予定。

 そういえば新春の浅草で、愛之助さんが『天下茶屋』の大敵を演じていた。
 うちのチラシをお渡ししたら、ナンですかコレ、と烈しく食いついて下さったけど
 公演はほぼ丸かぶり。ぜひ観て欲しいけど、その余裕はないだろうな……

 
 
 
 
 
 
 


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