4月馬鹿

 なんか気の利いたウソでも付こうと考えたけど、まったく発想のない、出がらしのような私です。

 にしてもエイプリルフールを、4月馬鹿と訳した人は、なかなか良い感覚だと思う。
 ま、そのまんまといえば、それまでだけど。
 簡潔にして、耳に残る。

 最近はとんと聞かぬがな。
 かつては、4月馬鹿 といったもんだ。

 のどかでいいね。喫茶店やる時は、屋号にしようと思う。

 ついでだけど

 4月4日は何の日か、知ってるか。

 オカマの日だ。
 3月3日の女の子、5月5日の男の子に挟まれてるから。
 つかこうへいの舞台で、知った。
 『いつも心に太陽を』というやつ。
 萩原流行とかが確か絶叫していた。

 今日4月4日はアタシたち、オカマの日ーーーーっ。

 ああっ、それ、フェアレディおつ じゃねーか。というのもあった。

 Z を 乙 と間違えてるギャグ。
 今や、フェアレディZの存在感が希薄だから、なんのことやら、という若者も多いだろうが。
 そういうスポーツカーが憧れの的だったんだ。

 ところで、利楽村から。

 新作『げんない』の通し稽古がやっと出来た。
 こんとこは根詰めて稽古してな。
 
 まだ油断は出来んがなかなか良いのではなかろうか。

 4月馬鹿なので


 大傑作 と言ってもいいんだけど。ま、今は控えめに。

 稽古見ていて思ったんだけど

 これはつまりムーランルージュだな。

 ニコール某という美人のお姉さんが出てた、ミュージカル的な映画があったろ。

 あれの江戸版だと思えばいいな、と。

 ま、あんなにお洒落でポップにはいかないが、
 キモチはあれだよな、と。

 両国の見せ物小屋で起きた、哀しい恋の話 みたいな。

 そんなストーリーに平賀源内の何が関係有るんだと、叱られそうだ。
 そう言われれば、すみません、としか言えぬ。
 
 打ち明ければ、その恋の中心に、源内はいないし。
 
 源内の恋が描けたら良かったんだけど、何しろ、カレはゲイなので、学生の鑑賞会が多く入る、この小屋では、それを大きく展開するのは、ちと困ると言われた。

 ただな
 良い出汁が出るんだ、平賀源内からは。

 映画のムーランルージュ を貫いてたのは、ボヘミアン的な快楽主義とか、刹那的耽美主義だと思うけど
 
 源内の精神もまさに、デラシネ=根無し草 だからな。
 自分で、ねなしぐさ と名乗っている。

 定着農耕民族 の日本人に珍しい感覚である。しかも江戸時代なんだから。
 
 それは良い出汁が出るんです。

 で、その辺の感じは、今回結構うまく出せてるんじゃないかと。今のところの自画自賛。

 ただ問題は、

 この場所で、修学旅行とか、農協ツアーとか、初めて舞台見るみたいな人が多い公演で

 そんなことやって、伝わるのだろうかということだ。

 昨日、我らの稽古場のあるショッピングモールの広場では、オルガンに合わせて皆で歌う会が開催されていて

 『つぐない』とか『有楽町で遭いましょう』とか『ここに幸あり』などを、近隣の熟年老年が集って歌っていた。

 この場所で真に、しっくりくるのは、きっとこの昭和の世界なんだよな、と思いつつ、
 ムーランルージュ 大丈夫かと、

 少し心配になった私であった。

 『幕末なんとか』より更に、さっぱりワケ分からんわ、

 という、利楽風呂に向かう、おじいさんの呟きが今から聞こえる気がする。

 


 
 
 
 
   
 

 
 
 
 


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