みちのくひとり旅
いよいよ、坊ちゃん劇場・新作『げんない』も開幕間近。仕上げに入ってます。
先日は一泊で、秋田角館に行って、『幕末ガール』の舞台稽古を見てきた。
日本縦断演出。
終わったはずの彼女に会いに行く気分。
これが良い女でなあ、
もう新しい、けんないとの生活が始まっているのだから
すっぱり忘れようとしているのに、
なかなか別れられず、未だ未練が残るみたいな。
みちのく一人旅 でありました。
この新幕末が、
愛媛で270ステージをやり抜いた、五十嵐可絵とガンちゃんらに加えて、今回はわらび座員が分厚く参加して
いかにも、日本の音楽劇 という味わいを出してくれていた。
期待がもてて、安心以上に、心が熱くなった。
かえすがえすも良い女だね、幕末ガール。
愛媛で閉店するはずだったのに、北国からお呼びがかかって営業延長、花の季節に、しばし雇われママですよ。
そのママが、どうなの、新しい彼女は。
と含みある微笑みで聞いてくる。
アタシより、良いの?その人……
なんて。そして……
もうずっとここにいればいいじゃん、て。
しかしそんなワケにはいかないんだ、オレは旅人なんだ。
ここで一緒に死ねたらいいと、すがる涙のいじらしさ。
オレはひとりと、呟きながら……
たとえどんなに別れが辛くとも、お前がオレには最後の女〜
そんな後ろ髪ひかれる気分であった。
しかし四国には、げんないが待っている。
男だけど、江戸のオカマ先生、元祖アート系オネエの人だからな。
こっちはこっちで
オレのみちのく旅を、じとーっと嫉妬の目で、見てる気がする。
幕末の女なんか、何サって、感じで。
あんた、女なんかと付き合うなんて不潔よ。アタシが忘れさせてあげるんだからっ。
意外に強い腕力で、グワと組伏され、げんないに唇を奪われる夢で目覚め、慌てて四国に戻ったワシだった。
で今、げんない、と組んずほぐれつやってます。
でもさすがに、げんないも、幕末の女の、後釜になろうという野心を燃やして、グイグイとそのパワーを見せつけつつあるのだった。
幕末を超える、がテーマだしな。
必死だよ。
奇想天外の名に恥じぬ、すっごいことやってみせるんだからねっ、
江戸のムーランルージュ、よっ。
オイネなんか、ニコールなんか、ウンコよっ。
天下とるわよっ。
なんちゅーうか、
二丁目の、ショーに命を燃やす、オネエママのような、げんないの、雄叫び、否、雌叫びが聞こえてくるようだ。
キィィィィィィー みたいな。
その勢いに押されて、たちまちみちのくの夢気分も吹き飛び、
意外に毛深く、情の細かい、げんないと汗だくで四つに組むワシである。
とにかく
大変だということだ。でも頑張ってる。
んで今から、とょっと記者会見に行ってくる。
まさか
この愛媛で、すっごいオカマショー見せて、新しいゲイ文化の花を咲かせてやる、とは言えんがな。
