共感してくれてありがとう。
この日記は、書き始めてかれこれ10年以上になるんですが、
読んでくれる人の平均は、1日に約千人ぐらい。多くても二千人ぐらいのこと。
それが一昨日は、1日で六千件近くになりました。
この3日では一万を軽く超えています。
賛同の意見とか、共感の意見とか、たくさんたくさん頂きました。
ちと言い過ぎだろうという、お叱り、ご指導も頂きました。
そのどれもが、真剣に私の怒りに応えていて下さり、嬉しく思います。
遊び半分で書いたつもりはなく、
心底憤って、こう書くとどうなるかも、私なりに考えて書きました。
ただ、こんなに反響が大きくなるとは思わず、そこは想定外でした。
個人名などは書かなくて良かったと思います。
それだけ、多くの人の関心事だということなのだと思います。
せっかく楽しみに来た劇場で、他の観客の明かなルール違反のために、台無しにされた経験とか、
命がけで産みだし、稽古して創りあげた、作品を、心ない観客とは言えぬ、ちん入者にぶち壊された、悔しい思いを持つ、役者やスタッフたち。
これだけ反響が広がった理由は、そういう人たちが、私の文章をアチコチで紹介して下さったからだと思いますが
やっぱり、みんな、そういう辛い経験をしているんだな、としみじみ思いました。
でも、多くの方が仰るとおり、こういうことが積み重なって、少しでも多くの人が考えてくれたり、改善していこうと努力を始めてくれれば
書いた甲斐もあったと思います。
私は個人的には、これでどんな仕事を失っても悔いはありません。
特定の個人の過失を、誇大に喧伝したつもりはなく、
あくまでも公人として、公務の立場で、私の仕事場にご招待で入ってこられた人の、過失とは思えない、大きなマナー違反に対する怒りであり
この怒りを何のためであれ、黙って飲み込むことは、私自身の仕事対する誠意を裏切ることになると思って
大人の物書きとして、書いたつもりです。
その書き方に対するご意見は、真摯に承り、今後の糧と致します。怒りにまかせて、面白可笑しく書きすぎたかもしれません。ご不快な思いをされた方は、ごめんなさい。
ただ誤解なきよう釈明しておきますが今回、私は
劇場に不慣れな方の、マナー違反とか、ルールを知らないために起きた出来事とか、
そういうことを問題にしたのではありません。
また、うっかり止め忘れた、携帯が鳴ったのがけしからんと怒ったわけでもありません。
そんなことにイチイチ怒ってたら、キリがないわけで、困ったことであるけど、そういうものも飲み込んで劇場は公演をしていくわけです。
ただ許せぬモノと、許せぬモノがあると思っただけです。
(※ご指摘で訂正 許せるモノ)
これぐらい許せよ、という意見もあるのかもしれませんが、それは我々の仕事に対する冒涜だと思います。
外からどう見えるかは分からないけど、我々はそんなにお気楽にやってるわけじゃないんです。
今回の大反響の裏につもる、たくさんの作り手、表現たちの怒りや哀しみが私にはよく分かります。
我々は、この仕事が、世のため人のためになる、なんて尊大なことを声高には言わないし、言えないけれど
皆、観る人に楽しんで貰いたい、少しでも喜んで貰いたい、出来れば感動して欲しいと願い
そのために、知恵を絞り、カラダを酷使して、稽古するわけです。その労力に対する対価が得られることは、極めて稀なのですが
それでも、終わった後に、良かったよとか、元気になれた、という、そういう一言を聞きたいために、やっている。
反面、怖くて怖くて仕方ないわけです。お客さんが退屈しないか、つまらないと思ってないか。
その昔、某大俳優が、最前席で開幕からずっと下を見て、目を閉じている人がいた。それを舞台からみつけて、だんだん腹が立って、何とか起こそうとして大声出したり、動きを変えてみたり頑張った。
それでもその人はついに起きず、とどのつまり芝居が荒れに荒れ、ぶっ壊れたということがあったそうです。
大俳優でさえそうなのです。
でもそれぐらい必死にやっていて、ナーバスにやっているものなのです。芝居というのは。
寝てる人をみつけたぐらいで、動揺してちゃ、プロとはいえないけど
それでも、みんな、心じゃクソーと思っていたり、
オレはダメだと落ち込んでいる。
それが本音だ。
その話には続きがあり、
実はその人は、視覚に障害のある人で俳優の大ファンだったという話です。じっと耳を澄ましていたんですね。
大俳優は、心底己を恥じて、以来、どんな時もブレずにやろうと決意したそうです。
客席と舞台の関係は、かように一筋縄ではいかず、難しいんだけど。
それぐらい、皆、魂込めてやってるんです。新人もベテランも、名優もアマも。
まして土曜日の公演は、長い長いロングランの初日でした。
私だって、昨年からずっと準備してきた作品がついに、お披露目になる記念日。
結婚式とか、入学式とか、そういう気分の日ですよ。
分かってくれとは言わないが、せめてその気分に浸る邪魔せんでくれと言いたいんだ。
でも邪魔するヤツがいるんだから、闘わなきゃしょうがないじゃない。黙ってたって、変わらないんだから。
つかこうへいは、作品は娘だと言いました。
だから全力で守り、娘を汚すヤツは殺すと。
毎日、紀伊國屋ホールの照明ブースから、お客さんの顔を見て、誰がどこで笑ったか、チェックしてたというんだから。
キリがないので、この話はもうこれでやめますが。
最後にもうひとつ。
音楽監督・深沢桂子さんから聞いた話。
ブロードウェイでは、
一曲目のナンバーが終わると、どんなお客も大拍手を舞台に贈るというのが、しきたりなんだって。
イマイチと思っても、こりゃダメだと思っても
一曲目だけは、いっぱい拍手するんだって。
それはここまで毎日稽古して、よく初日を迎えたね、
オメデトウという、客席からのプレゼントなんだと。
その後からは、気に入れば喝采、ダメだと思ったらブーイング、最悪なら退席なんだそうな。
そう言う客席を、我々も創りましょう。
ダメな時に、ツバを吐かれる覚悟は皆、あるものね。
でもぜったいそうはさせない、泣かせてやる、笑わせてやる、観て良かった、ありがとうと言わせてやると、命削って創ってるんだものね。
何度も言うけど、希望は捨ててないんですよ。
こんなに大勢の同志がいるんだから。ファンのお客様はもちろん、四国瀬戸内政財界にも、心ある文化愛好者の応援者は大勢いて下さるのです。
その人たちは一緒に憤り、心を痛めてくれています。
前に進むために、低血圧の横内も敢えて暴れることもあるんです。
どうもお騒がせ致しました。
『けんない』は、その後、とっても良い感じで、公演出来ています。
