とんでもないようなこと
アトムへの伝言 の稽古の時
六角演じる ラッパ師匠がなぜかリーゼントになって出てくるというシーンがあり
そこに山中たかシ演じるカッパが、なんじゃそれはと突っ込みをいれるんだけど
高橋ジョージだよ、と六角はアドリブで返したわけだ。
でロードを一節歌ったんだが
「〜とんでもないようなことがシアワセだったと思う〜」
とな。
賢明な読者の方はお気づきだろう。これは歌詞の間違いである。
正しくは なんでもないようなこと である。
何でもないふとした小さなことが、シアワセだったなあというレトリックだ。
ただ六角はボケたわけではなく、マジの間違えだったようで それを実に堂々と歌っていた。だめ出しの時、私が指摘してやっと気づいたぐらい。
とんでもないようなことがシアワセだったと思う、とな。
他の人ならいざ知らず、この人がそう歌うと、なんちゅーか間違えなのに
そこはかとない凄みと、リアリティが出たものよ。
とんでもないこと、たくさんあったからね、この人のこれまでには。
それは高橋ジョージもきっと想定しなかった、詩的世界の広がりだった。
その少し前、稽古場近くのコンビニで、稽古場で皆で食べようとお菓子を買ってたら六角も来て、
若者たちのためにとカップ麺などカゴにふたつ分ぐらい買ってくれた。
というか買おうとしていた。
するとお店のオーナーのおばさんが、
六角さん六角さんと呼び止めて
さらにおにぎりを山盛りに入れてくれて、その上すべて、無料にしてくれた。
私の目の前で。
何でもすごいフアンなのらしい。
六角が訪れるのをとっても楽しみにしているんだとか。
にしてもこっちは、同じようなお菓子に何千円か払っているわけで
一言で言えば、有名人はお得よねえ という話なんだがな。
もちろんその分、訳の分からん有名税をいろいろ払わされているんだろうけど。
しかし、そのすぐあとに六角版ロードを稽古で聞いて
アウトローの凄みを私は感じて
とんでもないようなことがシアワセだったと思う
ような人じゃないと、こんなことにはならんのだろうなとしみじみ噛みしめたのである。
そしてわたしは、そんなに浮き沈まなくて良い
何でもないようなことがシアワセだつたと思うような人生で良かったかもと思ったのだった。
そんなアウトロー主演
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