そして一週間

 公演は続いている。
 厚木からはや一週間。

 にしてもクタクタである。何しろいつもと具合が違う。
 何が違うって、公演のたびに一回、切り替えて、気分換えて、衣裳に着替えて舞台に出ていき、
 変な汗をかかなきゃイカンことだ。

 爽やかな汗はない。見ればわかるが、ほぼ動かない。
 私ひとり、静かな演劇。
 リアリズムを追求している。
 
 いつもは、初日が開いて2、3日するとそろそろ自分の緊張は解けてくる。
 こっちがグタグダでも、舞台は進行はするからな。
 だが今回は、毎回一回、グダグダのカラダを、起こして、衣裳に着替えて出て行かなきゃならない。

 今回はホントに千秋楽まで休まらないな。
 その日を楽しみに生き伸びよう。

 だからって俳優さんは大変だなあ、なんて思わないぜ。
 毎日毎日、パソコンと格闘して、稽古場で、あーだーこーだ言って、劇団運営の責任まで背負って、宣伝やって。

 そっちの方が百倍大変だよ。

 これだけで生きていけるなら、ぜひ、わしもこれで生きたい。

 ま、クオリティをまったく無視した、発言であるが。
 
 にしても、そのクオリティである。
 
 今のとこ、私の演技については、誰も何も言わない。
 友人知人も、作品については何か言っても、私のことは黙っている。

 不気味なぐらい、何も聞こえてこない。

 だからって、どーだった、どーだった、とか聞くのはイヤだしな。
 よくある駆け出し俳優たちみたいに、
 演出家のとこ言って、

 ダメ出し下さいっ、とも言えぬし。

 私の演技を見守るように言っておいた、ニューフェイス野田翔太は、

 良かったッス としか言わない。

 しかし一部には、野田はその時転換作業に追われていて、私のことを見ている余裕はないはずだと言う噂がある。

 どーなんだ、オレ。

 今日と明日は、お昼の公演っ。



 


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