そして愛媛へも行く。みたいな。

 明大シェイクスピアプロジェクトは、見事な公演になった。年々、確実に進化している。
 『ヘンリー四世』って、世界史で受験した私でも、人名がさっぱり入ってこなし、まあ、あれほど子細に、明大隣の駿台で、覚えたはずの歴史びとたちの名を忘れているのは、私のボンクラだとしても
 日本人が台詞で聞いて、一発で何の戦争なのかとか、分かるはずのない歴史劇である。

 日本の話なら、義経とか、義仲とか、まあ、おおよそ検討はつくんだろうがな。
 
 でもそんな難作を、三時間よく飽きさせずに観客に届けた。
 若い学生だけの上演が、良い効果をあげている部分も多々あって、これが皇子ハルの、苦く切ない青春劇に見えたから、たいしたもんだ。
 
 稽古見ながら、オレも日本の歴史に題材を求めて、こんな芝居を書いてみたいなと、思い続けていた。そんなインスピレーションを作家歴・三十七年のオッサンに与えたのだから、間違いない。

 そして一方、扉座でも、若手たち中心の部隊の支度が進んでいる。
 ひとつは研究所の公演 ラブ×3。
 今回は、ななななななななな、なんと
 犬飼が主席演出に座る、酒席じゃないよ。メインだよ。

 こここんとこ担当していた田島幸が目出度く出産し、今産休なんだ。
 で誰がやるか懸案になっていたんだが、大阪で『阿呆鴉』をやってる犬飼の顔見た時に、犬だよな、とピンと来た。
 天下一業平先生ですよ。アングラの。

 打診したら、ちょっと考えさせてくれなんて、一人前のもったいぶりをしていたが、数日後、徹底的にやりましょうと、返事が来た。
 実は犬は、かつて座内ユニットを起ち上げて、自主公演やってたりするんでね。
 演出みたいなのも、やるのを、わしは知ってたんだ。
 で誰よりも、私がヤツの演出を楽しみにしている。意外に繊細なところがあって、キモチの流れとか、キチンと追うのだ、この犬が。
 
 今はそのネタ作り、ひたすらエチュードで、自分たちの作品を創っている。 

 でもう一個が
 『東京サンダンス』
 かつて、私がV6のトニセン劇団のために書き下ろした戯曲を茅野イサムが演出してくれる。

 思えば善人会議~扉座の 役者だった茅野氏が、演出家に転身していったのも、ラブ×3の演出をするようになってからだった。
 今ではすっかり巨匠だけど、今回久しぶりに劇団に帰ってきてくれた。

 細かい情報は、扉座HPで確認して下さい。
 先日、少し稽古場を覗いたが、若手たちは厳しく鍛えられていた。
 年々低血圧の進む私が、稽古でとんと熱くならなくなって幾星霜。
 久しく、我らの稽古場から、大声が消えていたモノだけど、同じ年の茅野は、まだまだ気合い入れまくりで、
 1ページな30分、百回直しみたいな激烈な稽古をしている。

 劇団協議会、文化庁の肝いりの、新人舞台人育成計画のひとつとして行われる上演だけど
 育成してるぜ、と呟くイサムの瞳は、猛禽のようだった。
 その育成の成果に、期待してほしい。

 そして、私は水曜日から、ちと愛媛に行く。4月に始まった、坊ちゃん劇場ロングラン『奇想天外歌舞音曲劇☆げんない』のキャスト一部入れ替えで、その稽古に行くのである。
 こちらもひたすら走り続けて、未だかつてない観客を呼び集めているらしい。

 来年の4月からは、角館のわらび座に移って、雪に閉ざされる冬まで、ロングラン上演されることも決まった。
 先日、映画館で、映像版を見て、我ながら良くできた、見所満載の舞台だなあと感心したんだが、彼の地で盛り上がってる様子を久々に見届けて来たい。

 それやこれやで、落ち着かぬ日々だけど、基本、あんまりアタマは使ってなくて、というか、そりゃ折々で使うんだけど、
 0からの創作たる、ホン書きとはストレスの度合いが違って。

 眠りの深いこと、相変わらず肩は上がらず、アゴも痛いけど
 今は暇さえ有ると、考えるな、考えるなとアゴをさすりつつ、自分に暗示をかけている。
 しばし、私に考えさせぬよう、諸君も留意してくれ給え。



 
  
 
 


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