角館の名店で、フレンチをご馳走になったこととか
角館に四泊してきた。
今、愛媛でやってる『げんない』が4月から、わらび座での上演になる。かなり気が早いと思うけど、その稽古に。
キャストがわらび座メインになるのである。
ところで
安藤醸造という角館・武家屋敷の名店があって、古いお蔵で売ってるお醤油とかで有名なんだけど、そこのご当主ご夫妻に、ディナーのご招待を受けた。
わらび座を強力にバックアップしておられる観光協会の会長さんでもあられるんだが
『幕末ガール』をとても喜んで下さり、
昨年はご夫妻で高円寺に『バイトショウ』まで見に来て下さった。
しかし角館にディナーって、と誰もが思うだろうよ。
結婚式の料理みたいなものだろう、とかさ。
パサパサの伊勢エビとか、想像するだろ、
ありがちな田舎のレストラン。
ナメたらあきまへん。
『じん市』というお店。外観はなんて事のないお店で、わらび地区の人々も知らなかったんだけど
これが、もう仰天の創作フレンチのお店。
てか鉄人料理だ。
ふぐとか、あわびとか、真鴨とか、地のモノと各地から取り寄せた最高級食材が惜しげもなく、使われていつつ、すべてに繊細な一仕事が施されていて、品良くまとまっている。それでいてお箸で食べられる気軽さ。
私の拙い文章力では、伝えきれないと思うので、たぶんいろいろあげられているグルメレポートなど検索して下さい。
シェフは乞われて、しばし銀座のお店で腕をふるっていたという話。
でもお子さんが角館が良いというので、帰って来られたそうな。
通いはじめて5年近くなる、角館にこんなモンがあったんだという、驚き。
ご会長ご夫妻は、角館は深いのですよ、と穏やかに微笑んでおられたが。
ミュージカル界の巨匠・甲斐正人先生に教わって以来、角館に行くときはタクシー使っても、必ず一度は行くようになった
居酒屋『げんべえ』も、
こんなのがあるのかという驚きの上手さの居酒屋の名店だけど、(今回もウニの海苔巻き揚げとか、最高に旨かった)
これで、角館に人を誘う口実が確実に増えた。
芝居見に来て、ってこれだけじゃ、もう37年言い続けてきたことだからな。
手を変え品を変え、誘わんとアカンのや。
間もなく、五十嵐可絵が出る、わらび座の小劇場公演『リキノスケ走る』が、雪に埋まりそうな風情有る小劇場で始まり、3月まで上演。
その後、4月からはわらび版『げんない』がスタートする。
遠い秋田の更に片隅ではあるが
絶品料理とかお酒とか、堪能するついでに、見に来ませんかとお誘いしたい。
『じん市』も『げんべえ』もそれだけのために、わざわざ行く価値のある、お店です。
にしても、この名店に、なんと、かの岩本達郎氏も昨年『幕末ガール』出演中に何度か、ご招待されていたそうな。
だがしかし、
私は一度も彼から、そんなことは聞かなかった。
フツーの人間なら、こんなスゴイモノ食べました、ゴチになりましたぜ、と興奮して語るはずだよ。
あなたも来て食べてご覧なさい、ぜったい語りたくなるから。
実際、なるべく食い物の話題とか書かずにいようと思ってるあたしも、ガマンできず、こうして書いてる。
なのに、こないだ愛媛利楽村で、久々にしみじみふたりでメシ喰った時も、岩本氏はまったく触れず
淡々と、ビールから焼酎にグラデュエーションしつつ、麦芽と芋のマリアージュに酔いしれていた。
伺えば、その時
絶品フルコースが終わり、デザート、コーヒーまで出たあと、
更に、飲み足らなそうにしていたガン平の姿を見た会長ご夫妻が、更にお酒を出してくだされたところ
そこから、きっちり溶けてグダグダになるまで、
イッてもーたとか。
おそらくビールとワインと、日本酒、焼酎のデカメロン的乱交マリアージュで。
そんな味の名店でだよ。
酒場じゃないんだよ、そこはっ。
レストランっ。
しかもここに来たとき、ガン平さんは、常に溶けきって帰ったとか。
たぶん何も覚えてないのだろうよ。
そんな絶品料理の味はおろか、そのお店に行ったことさえな。
きっとそこが錦糸町なのか、愛媛なのか秋田なのか、分からなくなっていたことだろう。
聞いていて軽く目眩がした。
さて
東京に戻り、劇団の新年活動はスミダパーク内、スタジオ『マルソウ』での研究所卒業公演、ラブラブラブ17。
もうすでに錦糸町では若者たちが、カラダから湯気を立てつつ、それぞれの課題に取り組んでいる。
今年は
犬飼淳治のメイン演出。
珍しく、男たちの多い構成で、今までとはまた違う味わいのラブラブラブになることだろうよ。
