友と虎
またまた、長い沈黙であった。
厚木の子供たちの舞台は、恒例の今年度卒業生たちの涙涙で、無事終演。
そして9月になって、グローブ座公演『フレンド 今夜此処での一と殷盛り』(9月26日~)の稽古本格的突入。
一方で、早起きして扉座公演『NAOTORA 直虎』(10月23日~座高円寺と厚木市文化会館)の執筆。
という感じで、半分死んでいた。
『NAOTORA 直虎』は8月終わりまでにあげる予定だったのに、9月まで食い込んで
、一方稽古も始まるし、地獄を見たぜ。
というか、夜明け前に起きて、書き始めて、朝日を見たのも数日。(歳とって、夜の執筆がまったくダメなんだ。夕方過ぎたら、脳が腐臭を放ち始めるのが自分で分かるしな)
しかし、そうやって必死に闘って、書いても書いても、ゼンゼン終わらなくて、このまま討ち死致すかとも思ったぜ。(下書きも含めると、たぶん千枚分ぐらい書いた)
したが、何とか、脱稿でござる、おのおの方。
ところで 一と殷盛り が読めないと評判だが、コレは中原中也の詩の一節で
ひとさかり と読む。まあ、読めなくてフツーであろう。
こんやここでのひとさかり。
これは目下、通し稽古に突入している。NEWS の増田貴久クンが主演の所謂ジャニーズ演劇である。かつて増田クンとは、私唯一の執筆連ドラ『ダンドリ』で一緒だった。
久々の再会。
同じくジャニーズシリーズで、V6のトニセン でやった青春三部作みたいのを、マッスーでやれないか的な話がプロデューサーからあり、
この度、実現したもので、
中原中也を支えた友人 の話である。(モデルは実在で、話はかなり創作)
アイドルの舞台で何でこんな、セリフ劇やってるの。
という感じの、昭和初期の酒場を舞台にした、地味目の舞台になる。でもトニセンシリーズも、そういうリアル系の世話物がけっこうウケて、これも有りだねえということになっていた。扉座では昨年末、茅野イサム久々演出でやった『東京サンダンス』がソレ。
今回はそれに少し、現代史のテイストを加えて、ひさしチックにやる。
これはキャスティンク゛が素晴らしい。
ほぼ初対面みたいな俳優たち。
今回中原中也をやる、遠藤要君なんか、大きいし、絶対に中也のイメージではないはずなんだが、コレが、徐々に中也に見えてくる不思議。
無茶苦茶で破綻している孤高の詩人を支える友人役の、マッスーの優しさと、その奧にあるオトコギが、要クンの無骨の中の繊細と呼応して、とっても良い感じになってきている。
ジャニーズファンのみならず、広く演劇ファンに見て欲しい作品になると思う。
ただ、もう当日券しかないらしい。東京で40公演もあるのに……
己も関わっていつつ、変だけど
ひたすらうらやましい。
そして『NAOTORA』
こちらは有森也実さんをゲストに迎えて。
有森さんとも、実はジャニーズ演劇というか
木村拓哉さん主演で、東京芸術劇場のこけら落とし作品として私が書いた
『モダンボーイズ』という作品で知り合った。この時、ヒロイン役で出演していたのが、有森さん。まだ『東京ラブストーリー』の前じゃなかったか。
この時、いつか扉座にも出てねと約束して、なんとほぼ20年ぶりぐらいの約束実現。
ま、一昨年のエグザイル・マキダイ&愛之助コラボ公演『影武者独眼龍』の時も出演してくれて、この時、ゆっくり話しが出来て今回に繋がるんだが
それだけに、こっちも、鼻息荒く、取り組んでいる。
ガラリと変わって、戦国の時代劇。
井伊直虎という勇ましい名の武将だけど、実は遠江・井伊家のひとり娘であるという、女性の話。コレも、とりあえず実在だけど、あまり資料もないし、
最近ではゲームの闘う女戦士のキャラとして、一部に知られているぐらいの人。
そこらへんの謎部分を、私が大きく創作して、
歴史劇の姿を借りて、人間を描く、シェイクスピアみたいに出来ないかねと。
かなり不遜な野心を抱いて、とにかくセリフを膨大に書き込んでいる。
当たり前のカツラ付けて、時代の装束きっちり付けて
なんてのではなく。
スピーディに場面を展開させてな。
演出的にも今演じられる、シェイクスピア的に、自由にやりたいなと思っている。
ともあれ、2連続の新作、書いて演出、書いて演出。休みはナシ。
みたいな、強化合宿生活だけど。
こうして未だ演劇をやり続けられる幸せを噛みしめて
ふたつとも、傑作にする予定。ご声援よろしく。
ここからは、日記も復活します。
それにしてもオレ、けっこう人気者たちと仕事してるねえ。
それを、せっせと、活動に繋いでる。
エライと、自分を誉めてみる。
イボは、稽古に執筆に、いじり続け、
一度は硬くなり、むしり取った。
んが、またジワジワと復活中。
今も、また育てているところ。
