夢を見ていたのか

 卒業式と稽古場さよならパーティ。

 120人以上が稽古場にいたそうな。

 第1期生も、6、7人参加してくれた。
 懐かしすぎて、名前もおぼろげになってるけど、顔を見れば思い出す。
 「ラブラブラブで、何やった?」
 こんな会話でたちまち記憶が蘇る。

 何しろ、全員がここで芝居を作った、演じ合った。
 議論し、喧嘩し、励まし合い、何かをやり遂げた。

 1年しかいなかった人々もいるし、
 もう演劇とは無縁の暮らしを送っている人も少なくない。
 
 でも稽古場が取り壊されるという知らせを聞いて、名残を惜しんで集まってくれた。
 残念ながら、用事で行けないという知らせも多数届いた。

 稽古場というものが、どれほど濃密な時間を与えてくれた場所であったか。
  
 海賊で言えば、最愛の船だったのだな、此処は。

 ひとひとひとで、ごった返した稽古場。
 笑い声で溢れた稽古場。
 その光景を見ていて、オレは今、涅槃に辿り着き、何か大事な人々との邂逅を果たしてしまったのではなかろうかという錯覚に陥った。

 でもな
 もし死んでこんな光景に出会えるなら、幸福である。

 そう思える、眺めであった。
 
 長くやることに意味がどれほどあるか分からんが、
 演劇なんてもんが、人生や社会にどれほど値打ちをもたらすものなのか、未だしっくりとくる答えはみつからないけど
 
 生まれてはたちまち消えていった、つかの間の閃光のような、あの時間たちを、愛してくれている人たちがこれだけいる。
 それを語り合うだけで、こんなに幸せな気分になれる。

 我々は、大事な宝物を持っていると。
 心から思いました。

 ありがとう、仲間たち。
 ありがとう、稽古場!
 


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