稽古場は、人生の春夏秋冬なんですよ

 今日は扉座研究所第18期生の卒業式。

 そして現稽古場のサヨナラパーティ。
 今までの卒業生などにも声がけして、パッとやる。
 勘定してみたら、450人なんだそうだ。研究所卒業生。
 なんたる重み。
 これで稽古場が壊れやしないかと、心配になる。
 ま、全員来るわけじゃないけど。

 新稽古場は現在準備中。
 それはそれで、春にお披露目する予定である。

 話は飛ぶが、CR闘魂 というパチンコ台があって、アントニオ猪木ワールドの新台なんだが、こいつがハマリの深い、やっかいな強敵で(MAXタイプST確変)
 その分出始めれば、爆発力は凄いんだけど、出るまでが、ただただ外れまくるのを我慢するだけの長い苦行となる。

 でその退屈しのぎのために、画面に、イノキ格言、プロレス名言集みたいのが掲示されて、
 我々は、要らんプロレス豆知識を、否応なく得ていくハメとなるんだが
 その中に
 
 プロレスは人生の春夏秋冬なんですよ

 というのがあった。
 藤波か、橋本か。いずれにせよ、生真面目なタイプのレスラーの言葉だった。

 いいね。
 レスラーというのは、肉体の雄弁さ、ゴージャスさに比して、言葉は実に素朴で、時としてこれ以上そぎ落とせぬという、詫びさび の境地を示す。

 どっかで聞いたことあるような言い回しで、手垢まみれに違いなんだけど、
 あの肉体の人に、こんなことポロリと漏らされると
 我々はふいを突かれて、月夜のススキの原に取り残された旅人の心地となる。

 山頭火のように……

 特に、打っても打っても、回しても回しても、大当たりの歓喜の
 ダアーーーーー
 が聞こえてこない、パチンコ台とジリジリ向き合っていた時に、
 この不意打ちを食らい、
 私は思わず落涙した。

 涙は止まることなく、我が膝をしとど濡らしてゆき
 やがて私は、人目はばからず、嗚咽を漏らすこととなった。

 そんな私の様子を心配した隣の客が、店員を呼びに行き、少し年配の店員が、大丈夫ですか、と声を掛ける。

 「だいじょうぶ、ちょっと昔のことを思い出しただけです……」
 「そうですか、私も時々ありますよ……どうぞ良い旅を」

 私の場合、思い出すのは、9割方いや、それ以上、演劇に関する記憶である。
 友情も恋も義理も人情も、どこかで稽古場と劇場につながっている。
 そりゃそうだ、16の時からやってんだから……

 でこの稽古場はかれこれ20年使ってきた場所。
 
 人生の春夏秋冬でなくて なんであろう。

 今日はその、春か夏か、秋か冬か。
 いずれにせよ、またひとつのシーズンが去って行く。

 18期生たち、おめでとう。
 そして稽古場、ありがとう。



 ★追記 
 
 会話部分は、『ノルウェイの森』村上春樹のパクリです。

 プロレス名言は 故橋本真也選手の言葉でした。
 正しくは「プロレスは人生の春夏秋冬を表現するもの」
 ちなみに、橋本選手の名言には他に

 マット・ガファリ選手を見て
「俺が言うのもなんだが、太りすぎだな。」

「時は来た!ただそれだけだ!」

 など。 

  ※追記のオマケ

 闘魂勝負中。
 何度も出現してきて、別の意味で泣いた言葉

 「こんな会社、辞めてやる!」藤波辰巳選手の名言。

 て名言かコレ?
 新日本プロレスというのはあくまで会社で、藤波選手は社員だったんだな、いろいろ大変だったのだなと、しみじみ胸の奥に沁みる。
 当然、この言葉は何度出ても、糞リーチにすら発展しません。
 

 
 
  
  
  

 
 
 
 
 



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