ちょっと置いて帰る

 今、根詰めて書きの最中で、辛い日々。煮詰まる日々……

 つい独り言が多くなり、長くなり
 こんなところに、よしなしごとを、吐き出してみたりする。実は誰に言う訳でなく、己のバランスをとる為に。

 今日は女子代表が、オランダと闘った。
 その最後の締めで、キーパーの海堀選手が、素人目にも、えーっと思うようなミスで失点して、楽勝ムードの追加時間数分を、大変ハラハラさせてくれた訳だが。
 それでもきちんと勝ってるワケで、すげえな日本女子と感心するばかり。

 ほんとに強くなきゃ、こういうミスして、勝てないだろうよ。

 で今、こんなミスを出しといたら、次はグッと締まるだろうし、なかなか妙味のあることだなあと、思うのであった。

 博打でね、何と言ったか、忘れたが

 せっかく大勝ちしたのに、帰る時に、わざと少し、負けて帰るようなことをする人がいるんだね。たいてい、上手い人なんだけど。

 少し置いてく、みたいな言い方してね。
 完全制覇、みたいなことをワザと避けるんだね。
 完全勝利、全勝という事態の危うさを、知ってるからなんだねえ。

 阿佐田哲也先生は、九勝六敗のすすめを説いていた。
 相撲の星とりね。相撲でも、博打でも、人生でも、全勝なんかしちゃ危ないよ、クン六で大成功なんだよと、博打の神様が言い残されてる。

 博打するときに、完全に勝つんだなんて思ってやるようなのは、あたしのような、ヘボの考えで。
 うまい人は、いかに負けるか、みたいなことも、ちゃんと考えられるのだね。
 失点の仕方や、負け方を知ってるというかね。
 全廃のような事態を徹底的に回避して、そこそこ負けつつ、しかし勝つ。
 トータルで収支を浮かせればよいという、考えを冷静に守る。

 で、ちょっとツキ過ぎてるみたいな時、わざわざ賭場に、少し置いていくようなことして、勝ちを薄めたりするのだね。
 これがとてもいやらしい。
 
 しかもそういう達人の怖いところは、ここが勝負どころとみるや、敵をもう完膚なきまでに叩き潰して、再起不能にまでやっつけるのである。
 その時は手加減なしで、ぶっ殺す。みたいな。

 そのタイミングを読み誤らないのが、名人である。
 
 そういう意味では、今日の試合はまだベスト16の闘いで、明らかに格下の相手で、殺す必要のない相手だったと言える。
 そんな考え方は甘い、トーナメントは負けたら終わりなんだぜ、と言う声も多かろうが

 我々がサッカーを知り、ワールドカップとか見始めた時、よくブラジルやドイツなど強豪国は、トーナメントになってからギアを徐々に上げ、決勝戦を想定して、最高潮に持っていくものだ、なんていう識者の解説を聞いて、
 それはもう、ほんとに一流の考え方だな、うちらはまだ目の前の一戦を、がむしゃらにやるしかないもんな、と思ったものよ。

 日本がフランスで、初めてワールドカップに出て、アルゼンチンとやった時、1対0の試合結果で、アルゼンチンと1点差だぜと、騒いだもんだが、
 その後、我々はその1点差がどんなに遠いものだったのかを、長い年月かけて今尚、学んでいるさなかである。
 で、女子たちは今、その1点差で勝ち続けている。

 今の女子の状況は、もしかしたら、そういう一流の感じなのではないかとさえ、思えてくる。
 だって、こんな素人でもツッコめるようなミスをしながら、ちゃんと上に進んでるんだもの。
 むろん、そう意図して、オウンゴールしたわけじゃなかろうが。

 ここで完璧にやっちゃったら、むしろ不安になるもんな。おごりも生まれるかもしれないし、敵を必要以上に警戒させることにもなりかねない。
 
 まあ、次の試合を楽しみにするけど、
 次もまた、まだまだ課題満載、すみませんハラハラさせて、と謝りつつ、結果勝ってるみたいな感じが続くと、これはもう心底怖い、名人コースのような気がする。
 
 それで最後に、鬼のような顔になって、今度こそ容赦なく、相手の息の根を止めました、みたいなね。

 ナデシコは、すごいねぇ。
 

 

 

 
 

 

 


 
  



 

 




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