ハンラサンとか
昨日、ラブ×3 の稽古の後、パークカフェ(すみだパーク内のカフェ)で、とちぼり木 と雑談。
とちぼり君は、今や売れっ子の放送作家である。
でも、10年ぐらい前に、私に弟子入りしたいと言ってきて、しばしアシスタントをやっていた。
昨年暮れに突然、連絡をくれて、彼が関わっているという、立川志らく さん主宰の「演劇!公演」を見に行った。
で、まあたまに話そうよ、と。
ところで昨日はもう一つ、用事があり、
それはハンラサンで、ご飯を食べる会であった。
すみだパークスタジオの関係者の方々とである。
今や、演劇人があちこちに出没する町となった錦糸町である。
一番は扉座も常駐している すみだパーク そして トムプロジェクトの稽古場も数年前に錦糸町に出来た。
で、以前、もはや茅野の実家のようになっている、韓国料理屋で、偶然に風間杜夫さんらと一緒になった話はここにも書いた。
その後、ラブR36 の時も、新妻聖子さんらミュージカル美人女優宴会と遭遇もしている。
この名で検索かけたら、たちまち有名俳優たちのブログがずらりと挙がるという、錦糸町の名店なのである。
看板だけ見たら、誰もそんな場所だなんて絶対思わないだろう。
かく言う私らも、
何でも食べてやろう!の茅野イサム氏が、
そこの扉を開けて踏み込むまでは、不気味がって、ずーっと素通りしていたところなのである。
ところが、そんな演劇城下町と化した、錦糸町(北口)一帯の、ご城主一族は、わしら以上に、このご城下の賑わいをご存じではないのである。
ハンラサンにも行ったことがない……
それを先日、知って、そりゃいかん、私がご案内致しましょう、ということになったのである。
とりぼり君も、そこに混じってもらったってワケ。
で、その時に久しぶりに来た錦糸町で飯食いつつ、しみじみと、とちぼり君が言ったものよ。
僕の原点はそこで見た
「夢の海賊」ですからねえ。
すみだパークの倉庫でやった、アレを見て、芝居の世界に足を踏み入れた、というか、私のとこに来たというのである。
倉庫の壁とか、全部、絵を描いて凄い、パワーでしたもんね。
今、ラーメンズ やってる人たちとかも、アレ見て、刺激受けて美大生から、ぐぐっと演劇方面に入り込んだんですよ。
えっ?そんなの初耳よ。
とちぼり君も、元は美大方面の人なのである。
ラーメンズなんて、時代の最先端を行く、ハイセンス集団で、わしらのような小劇場シーラカンスとは、まったく無縁のものだと思うじゃない。
しかしまあ、当然の事ながら、彼らにも無名の若者時代があって、こんな公演とか、見に来てくれたりしたんだね。
まあ、わしら、ホンマに活動歴だけは長くて、しかもいろんなことアチコチでやって来てますからねえ。
思わぬところで、思わぬ人が見てた、と聞いたりするのである。
そんなことなど話しつつ、オモニ鍋(主に鍋ではない)や、絶品チヂミなどを食べる。
完全なプロデュースで、しかも倉庫を改造しての公演という冒険で、
ひたすら大変だったという思い出しかないような「夢の海賊」(もはや12年前すよ)なんだけど、
むかーし、投げたボールが今、はね返って来た、みたいな気分。
必死でやったことは、どこかで何かを動かしているんだね。
思わぬ元気を貰った、夜であった。
折りしも、14年前に小学生が風船につけて飛ばした手紙が、
かれいの背中に張り付いて、海底から引き上げられて来たんだそうな。
演劇はひたすら消え去る。
それを虚しく思うこと多々である。
けれど、消えても、消えてない。
僕らの言葉や動きが、どこかの海底で
かれいの背中に張り付いているかもしれない。
おお、名言かも!
どこかの海底で、かれいの背中に……