岡田達也 氏の参加

 岡田達也さんに出演依頼をしたのは、昨年の夏、猫と針 の本番あたりのことだった。

 恩田陸さんの処女戯曲を私が演出したのだが、その公演の責任者の一人が、岡田くんだった。

 その公演の様子は昨年の日記にある。
 8月終わりから、9月のはじめにかけて頃である。

 で、今度、扉座に出てよ。
 出たいっすよ、

 という感じの会話があり、で、それが一番早く実現可能なのはいつ頃か、さっそく条件の摺り合わせをしたら、出てきたのが、この時期の公演だった。

 人気劇団の看板俳優で、各方面からも様々なオファーが来る人だから、スケジュール押さえも大変なのである。

 で、今回は、当て書きした。

 猫と針 でしっかり付き合ったから、この人についての私なりのイメージはかなり明確に有って、

 この人にまずは、有馬と岡森 を絡ませて、シーン作りをしていこうというのが、今回の私の作戦であったのだ。

 実を申せば、かの 人気劇団 キャラメルボックス の公演を私はそんなに熱心に見てきたわけではない。

 猫と針 の話が進行してゆく中で、ここ2、3年、見始めたというのが正直なところである。

 なので、岡田クンが、劇団では、どんなポジションで、主にどんな責務を負っているのかもよく知らない。

 しかしまあ、せっかく別の劇団に出るんだから、劇団とは違う姿を見せてもらった方がよかろう。

 とりあえずは、いつも腰が低く、気配り満載で生きている好青年の代表のようなこの人が、

 たまーに、ちょっと狡猾な目になり、人相が悪くなるのを、昨年の夏、発見した私としては、


 今回の公演では

 ちょいワル岡田 を見せて頂こうと思っている。

 今のところ、我が軍の手勢たちとの相性はとても良い感じに見える。

 まあ、それも彼の、持ち前の順応力で、摩擦ゼロ進行を心がけてやってくれているお陰であろうが。

 人気劇団からの客演なんだから、もっと威張って、うちの若い女子を説教がてら、持ち帰って、役者道の恐ろしさを味合わせるぐらいの、ことやってくれても、
 当然だろうと思われるのに、

 まあ、そんな下手なこたあ、やらんだろうな、この人は。
 若手からも、すっかり優しい先輩として、慕われてるし。

 それじゃつまんないから、ちょっと、罠でも仕掛けてみようかと思う、今日この頃である。



 
 


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