ブログライター会見と エスプレッソの思い出

 田中君をせっついた結果、ブログライター会見のお知らせ。やっとアップされましたね。
 
 そんなワケで、皆さん、どうかご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 轟組 の名を、世界にとどろかせるパワーをお貸し下さいませ。



 ところで、先日、別件で厚木に行ったのだが、
 その時、ちょっと立ち寄った喫茶店がある。

 カフェ鈴木 

 というんだけど、

 そこは何で厚木にこんなオシャレな喫茶店があるの。と誰もが不思議がるような、お店である。

 喫茶店というか、まるで バー でね。厚木の何の変哲もない、公園の側にあるんだけど、昼でも外からの明かりを遮断し、

 徹底的に、間接照明だけで、しかも客の手元しか照らさないという、
 
 西麻布辺りの、おクドキ系バーの感じである。

 でもそこは厚木なので、イトーヨーカドーでお買い物した主婦たちが、
 そんな間接照明のなか、こだわりのコーヒーを啜りつつ、フツーに世間話をしているのである。

 それはともかく、実はこの喫茶店、同じマスターがやっていた前身がある。
 小田急相模原 というとこの駅前で、

 そこでは

 雑記帳 と言っていた。

 ここもウッド調で、センスは良かったけど、まあ今ほど、浮世離れはしてなくて、
 美味しいコーヒーが売りで、窓辺に、マスターの飼ってる黒猫がいつも佇んでいる、
 70年代から80年代にかけて、どんな街にもあった、地元インテリたちの情報交換基地、みたいな場所だった。

 んで、
 当時、二十歳で、劇団を旗揚げした頃の

 私と六角精児、岡森諦が、よくたむろしていた場所だったのである。
 特に、六角は、家がもっとも近かったこともあり、
 日課のようにここに通っていたといってもいい。

 当時はまだ、エスプレッソ なんか珍しい頃である。
 雑記帳では、その頃から、デミタスカップで、エスプレッソを出していた。

 正直、そのころの私は、コーヒーの味なんかどうでもよくて、
 ただひたすら、劇団をどうするか、次はどんな芝居をやるか、みたいなことを、彼らと長々とダべっていられたらそれで良かった。

 しかるに、雑記帳は、相模原の文学青年とか、相模原のデザイナー少女とか、かつてテラヤマの天井桟敷にも関わったことあるぜ、みたいな
 いわゆる、相模原のギョーカイっぽい人たちが大勢出入りするので、

 そういう話を伸び伸びとやるのには、ちょっと窮屈な場所だった。

 自称、テラヤマの天井桟敷に関わったことがある人、というのが、実は全国に何千人もいるのだ、という真実を知る、ずっと前だったから、

 そこで下手に芝居のことなんか語ったら、恥をかくぜ、という気配に満ちていたのである。

 ついでに、エスプレッソというコーヒーは、信じられないぐらい少量だし。

 なので、私は六角に、
 すかいらーくに行こうと提案するのだが、

 当時から、インテリぶっていた、というかアート系・ギョーカイぶりの大好きだった、背伸び屋・六角は、
 だったら帰ります、そんなダサイ人と付き合いたくありません劇団を辞めます、などと私を脅して、
 雑記帳 に連行したのだった。
  
 で連行された私は、仕方なく、ちょっと緊張気味に、いっぱしの演劇青年を気取り、
 本当に話したい、

 こんなギャグを思いついたぜ、

 みたいな話題は我慢して、
 ロシア・アパンギャルドの功績と問題点などについて、語っているフリをしていたのだった。


 ふるさとの なまりなくせし友といて モカコーヒーは
 かくまで苦し 

                 寺山修司 
  

 今はスタバとかで子供でもエスプレッソ系のモノなんかフツーに飲んでいる。
 うちの稽古場でも、とりあえずレギュラーコーヒーをのべつドリップしてるしな。
 
 でも、あの瓶詰めの粉の、インスタントコーヒーで、違いが分かるとか何とか、言い合っていた時代である。
 
 そこで2、3千円しか持ってない、演劇かぶれの大学生が、
 未知なるエスプレッソを、ちびちびと啜りつつ、訳知り顔の地元インテリたちに混じって、
 アートとか、ジャズとか、知ったかぶりで語ろうと悪戦苦闘する。

 思えば、青い青い 季節であった。

 そんな雑記帳が 名を変えて厚木に移ったと知ったときには びっくりした。

 我々がまた厚木でつながってしまったのは、まったくの偶然である。
 ただ、

 私は滅多に、この店には入らない。
 厚木に行くときは、いつも誰かと約束があって、なかなか一人でコーヒーを飲む、なんて気分にならないのも理由だけど、

 やっぱりなんていうか、
 未だに、あそこのマスターの顔を見ると、緊張してしまい

 恥かけないぞ

 みたいな気分になってしまうのである。
 懐かしくて、そしてたまらなく気恥ずかしい。

 あの苦さの向こうに、青い青い季節が垣間見えてしまうのである。 



 ムリをして見栄を張り合うオレたちに エスプレッソは
 なんと少なし  

                 けんすけ



 でも、カフェ鈴木 はホントに美味しくて、ステキなお店です。
 お近くを通りかかった時には、ぜひ。
 本厚木のハトポッポ公園のすぐ脇です。
 入って来なくていいから、みたいな気配の、茶色い小さなドアが見えたら、
 そこがお店です。
 


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