第12期生の 卒業式
野毛の現場は、本日は作業の日。
新しいシーンのための、さまざまな道具作りがあるのである。
一方錦糸町稽古場では 卒業式だった。
今回は、講師陣も皆忙しく、
扉座スタッフ 赤星、田中 と
ダンスの 田井中先生、
タップの 柳瀬先生
だけのご出席だった。
それに加えて、私の、計 五人で式に臨んだのだけど、
これが なかなかしみじみとして、良い式であった。
ラブ×3 も 上手くいってたから、良い感じの調和が彼らの中にもあるのであろう。
校歌斉唱 がことさら 良かった。
校歌とは シーズンズ オブ ラブ である。
いつからか、ラブ×3で 必ず歌われることになったこの曲を。
卒業式で 歌うことが習慣になった。
で、今日も、彼らは稽古場を離れる最後の最後に、皆でコレを歌った。
涙に声にならない者、
泣くのを必死に耐えて、稽古場の天井を、みつめつつ、歌う者。
肩を抱き合う者
手を握り合う者
長く演劇をやっていると、
本番の舞台ではない、人に見せない 稽古場で、
奇跡のような劇的瞬間が起ち上がるのを目撃することがある。
ちょっと前のことで言えば
韓国に行って、仁川の文化会館の、ボロボロの稽古場で、最後にやった通し稽古。
夕暮れの稽古場で、揺れるろうそくの中、
ほんの一握りの関係者の前で、
演じられた
お伽の棺
この時の芝居は、私が今まで見てきた、数々の芝居の中でも、三本の指に入る、ものだったと思っている。
まあ、初めて外国に芝居を持って行って、いよいよ、2日後に本番を迎える、
というタイミングで、
見ていたこちらの、心境もフツーじゃなかったから、
それは割り引かなきゃならないが
ともかく、
稽古場で、スゴイものを見た といえるモノだった。
今日の歌もそういうものだった。
それを聴いていたのは、たった五人だ。
この少人数ではとても受け取りきれない、たくさんの溢れる思い。
その思いは、
彼らの思い出が染み込んだ、稽古場の床に、壁に、天井にさらに吸い込まれてゆく。
人に聴かせるためではなく、
仲間たちが、仲間であることを感じるために
歌われた曲。
今、たった一度きりの
歌。
歌われた瞬間から、たちまち消えてゆく、
儚く愛しいものたち
でも、
その瞬間こそ
永遠という名で呼ばれるモノだ。
舞台を愛する者にとって、
そんな瞬間に
出会うことこそ
至福である。
舞台上であれ
稽古場であれ
みんな、おめでとう。
君たちの未来に、幸あれ。