ちょっと感傷的
舞台でのご挨拶で言ったのだけど
つい三日前まで千秋楽も、けっこう空席がある見込みだったのである。
それが最後の三日で、ぐわっと盛り上がって、昨日のステージは、満席になった。
そんな客席から力を貰って、さらに舞台も熱くなり、
スゴイ公演になった、と思う。
うちのレパートリーを土台にしつつ、ちょっと異色のゲストを招いて、冒険的な公演に挑んだのだけど
ドリル魂 の新しい可能性が開かれたんじゃなかろうか。
まあ、それぞれにファンがいて、
それぞれの視点から、作品を見てくれて、いろんな意見はあると思うけど、
今回の盛り上がりは、
単なる再演では、実現しなかったと思っている。
そういう意味で、ゲストとゲストを応援してくれた皆さんに、心から感謝している。
そして轟組も、渡り廊下走り隊 と 伊阪達也 を大好きになり、
彼らも 轟組 を大好きになってくれた。
だから昨日の、解散のお別れは、
久しぶりに 公演が終わってしまう 寂しさを噛みしめたものになった。
もう30年以上も、こんなことを続けていると、責任者の立場で迎える公演は特に、幕が開くと、とにかく事故なく、このまま無事に早く終わってくれ、
という祈りモードになるんだけど、
渡り廊下走り隊 が
もっとみんなといたいです と、
流してくれた涙を観てて、
つい、貰い泣きしてしまった、責任者のおじさんであった。
今まで、市民劇では、中学生や高校生とも一緒に、舞台をやってきたが
本公演で、こんなに若い人たちに出て貰ったことは初めてである。
どーなるんだろう、作品は成立するのかと、不安もあったけど
舞台という場所は、本当に奥深い場所で、
世界の縮図として、大人も子供も、混在しつつ、やがてちゃんとまとまっていくんですね。
犬飼も アフター・トーク で言ってたけど
やっぱり トシ君が演じる、インキチ受験生に、何かいうのと、本物の十代の半ばの 若者にいうのでは セリフの重みが自然と変わってくる。
それはトシ君の演技がどうこうという問題ではなくね。
リアル13歳のまゆゆが 危なっかしさいっぱいで
うちらの人生終わってるんだよ
と投げやりにいうと、
そんなこというなよ、とこちらも素直に言いたくなる。
大事な夢のために戦え、なんてありきたりな言葉が
客席へのメッセージではなく
本気でデビューしたてで、発展途上の彼女たちに向かって伝えたい、言葉になるのである。
そういう意味で
ドリル魂 が持つ、ストレートなセリフや思いが、異色のコラボによって、際立つ瞬間が多々あったと思う。
加えて
頭の薄い受験生をやった次の公演では
援交のハゲオヤジをフツーに演じるトシ君の芸の幅に、どうか拍手をして欲しい。
こういう公演の常で
またやりたいねえ
また一緒にやりましょう
とかいいつつ別れるのである。
でも、そんなのインチキでしょ。大人はずるいんだから。
とイマドキの心得た若者の彼女たちは
ちゃんと分かってて、
鋭いツッコミを入れてくる。
実際、いまのとこ横浜現場はおろか、ドリル魂 そのものの再演の予定もないしな。
でも、
その気持ちに決して嘘はなくて、
本当に、
買い取ってくれる人さえいれば、すぐにでも、再演しロングランしたい気持ちである。
そういうエンジェル 現れないものかね。
しかし、この未曾有の不況下でそんな期待を抱いても、虚しいだけだから、
しばらくは
それぞれに、自分の仕事をしっかりやり
再会のチャンスを待つのである。
そのめに今は 振り返らず行け である。
でもこの絆は消えない。
まずはチームBの新しい公演をまだ観てないので、見にいかなきゃな。
みんなで行こうという話はあるが
私としては 今度はぜひ一人で行きたい。
彼女たちにも何も知らせず、ただひとり、匿名のオッサンとなりあの空間に身を置いて、多くのファンとともに、そのステージを体感しなくては、イカンという気がする。
彼女たちがホームに帰って、夢に向かって戦っている姿をしっかりと見るために。
で、面会なんかなしで何も言わず、黙って劇場を出て、メイドカフェでオムライスでも食って帰ったら、
それもちょっと泣けるだろうな、と思う。
