オタク魂
そろそろほとぼりが冷めた頃合いかと思い。
書いてみる。
ドリル魂の時のこと。
例によって、ダバシ工務店の作業着姿でロビーに立ち、現場の進行を監督していたのだが、
2日目ぐらいに、見知らぬ女性にお礼を言われた。
渡り廊下走り隊の ○○ちゃんの知り合いらしく
あの、○○ をよくここまで鍛えて下さって、大変ありがとうございます。
と。
こちらも恐縮し、頭を下げたものよ。
で、○○ちゃんの、ご親戚の方ですか?
まあ、お母さんには見えなかったんだよな。
そしたら、
いえいえ、ただのキモオタです、って。
つまり、追っかけのファンだった。女性もいるのです、彼女たちのファンには。
にしても、つくづく熱心にして、心から彼女たちを愛しているのね。
どうしたって、肉親の佇まいだもの。
そして、わしらにお礼を言うのですよ。
こちらとしても いえいえ、お嬢さんには、ホント、一所懸命取り組んで頂いて感謝しております、
と頭下げるしかなかったよ。
とまあ、そんな熱心なファンが詰めかけてくれ、応援してくれたお陰で、公演は盛り上がったのだけど、
その一方で、ご自分でも キモオタ と名乗るぐらい、
まあ、特異な気配の集団が集ったことも確かで
いわゆる、フツーの演劇ファンには、ちょっと退くというか、何コレ、みたいな反応を引き起こしたりもしたのよね。
劇中かけ声がかかるとか、お客さんがノリノリで盛り上がるみたいなのは、
こと ドリル魂 では 有りだよと思っているので
芝居の進行の妨げにならなきゃ、自由に楽しんで貰っていいんじゃない、と私は思っていたんだけどね。
彼女たちの踊りに合わせて、ファンが振り上げた腕が、当たったりでもしたのか
彼らの熱いノリに、やたら、迷惑だと、憤慨しているお客さんがいたのも事実でね。アンケートなんかには、厳しく書いてあったりしたのよね。
まあ大方のお客さんは、そういう現象も含めて、面白がっていてくれたんだけど。
オタクも見られた、みたいな。失礼な話ですけど。
我々としては、客席で、ドリル・ファンとAKBファンと、伊阪ファンと、中・高校演劇部員と、神奈川県関係が融合して一つになって欲しいと願っていたのだけど
まあ、異文化の衝突は多少さけられませんよね。
国境が消える日は遠い。
しかし、今私がいいたいのは
彼らはかなり礼儀正しく、ドリル魂 を支えてくれてたぞ
ということです。
そりゃ、ホントにごくわずか、彼女たちの出番が終わると、他の観客の迷惑を顧みず、席を立ってロビーで休んでるみたいな 輩もいたけど
総じて、キチンと見てくれて。
最初のナンバーから、手拍子が起きたのは、今回の公演の2日目が、初めてのことなんだけど。
それなんか明らかに、前日見て、2日目に駆けつけてくれたAKB方面の熱心なファンから起きたことですからね。
それも 渡り廊下走り隊 はまだ出ていないシーンなのに。
まあ
鏡の中のジャンヌダルク というAKBの歌では、
我慢できずに、オタク踊りが始まっていましたが、
それも、その曲をわざわざお借りして使ったのは、こちらなワケで、
ぐわっと
盛り上がって下さるのは、むしろ歓迎だったんだしな。
もちろん、隣の人の頭とかにはぶつからない範囲でね。
しかし一方、オタク方面では
あのシーンで我々がことさら盛り上がってしまうのは、いかがなものか。
この舞台において我々のオタクチックな声援は
是か非か
ネット上で論争もあったというのよね。
我々としては、こういうことに正解なんかないし、とにかくそこまで真剣に取り組んでくれて、ありがとう。
というしかないよね。
とにかく人の意見というのはいろいろでね。
あのメット席について
お客に強制的にメットをかぶらせるのは おかしい
なんていうアンケートなんか書く人もいるわけよ。
そういう人がなんでわざわざ数少ないメット席に座ってしまったのか、それがもっとも不思議なんだけど
少なくとも ドリル魂 見ればさあ
そういう一風変わったことを むしろ楽しんで欲しいというメッセージくらいは届けてると思うんだけどねえ。
何しろ 15年前、私が初めてロンドンに行って本場のミュージカルというものを見て、客席の盛り上がりに驚いた ロッキーホラーショウ への オマージュなんだから。
メットは持参して欲しいんだよ。あの席に座る人は。
被るのが嫌なんて、そもそも論外なんです。
まあ
ロッキーホラーショウだって、さまざまな良識との闘いを経て、あの成功を掴んだのだろうから、
そういうもどかしい道程も必然なんだろう。
ただオタクさんたちの、あの過剰なエネルギーが、何かを生むのも当然だと思うんだな。
芝居の客席では、メットなんか被らないから
という主張からは 何一つ新しいことは生まれそうにないけれど。
そもそも実を言えば
あのマイメットの始まりもオタクだった。
東京建築ショウという名で、ドリル魂の原型となる 工事現場パフォーマンス・ショウをすみだパークの倉庫で公演した時のことだ。
もう五年前かな。
ゲストで サクラ大戦の横山智佐さんに出て貰ってた。
その時も、熱心なチーちゃんファンが、全公演に来てくれてたりしたんだけど
その一部が、公演中に、自分のヘルメットを持ってきて、勝手に被り始めたんだよね。
こちらが何にも言ってないのに。
まあ サクラ大戦歌謡ショウ も熱心なファンはコスプレをして見にいくものだったから、彼らにしては自然な行動だったのかもしれないけど
それを見て
私はハッとしたのよね。
おお、これは、あのロンドンの風景じゃないかと。
何しろ、ロッキーホラーショウの客は、地下鉄に乗るときから、上タキシードの下はブリーフみたなアホな格好をそれぞれにして、劇場にワアワア集まってくるのである。
あの風景に オタクさんたちの姿が重なったのよ。
で、それが今日のメット席とか、マイメットシステムにつながっているのである。
つまり
オタク魂に導かれて ドリル魂 は成長してきたのである。
これは後で知ったんだけど
ドリル魂 って秋葉原方面では何か有名なゲームとかの、もタイトルなんだってね。
それはまったく偶然なんだけど
それやこれや全部ひっくるめて、今回の衝突もすべて、今後のさらなる盛り上がりにつなかっていけばいいなと願っています。
日本発の バカ・ミュージカルとして。
当然、秋葉原も押さえてます、みたいなね。
もっとも良いオタクが集まるミュージカルとか。
そして
目下、ドリル魂 の次なる展開を模索中です。
工事再開の早期実現を目指してね。
これからもご声援をどうぞよろしく。
長文お付き合いありがとう。
文中一部不適切な表現がありましたこと関係各位にお詫び申し上げます。