そして人生は続く

 喜びと悲しみのカードはいつも、同時に配られる。

 六角精児の主演映画、今日公開。
 
 いつも丁寧に創られる 相棒 らしく。
 この作品も、無駄な暴力や、狭いファン向けのギャグなど一切ない、正攻法の、大人勝負。

 その中で、六角がちゃんと個性を発揮して、ドラマを支えている。
 一部、ギターの弾き語りまでして。
 本当に主役なんだよね。

 このところ、キャンペーンで、やたら顔を売りまくっている彼だけど、
 名ばかりでなく、ちゃんと役者の仕事もやってました。

 自信を持って人に勧められる、良い作品です。
 家族連れでも、安心して見られてね。
 
 今日、貰った招待チケットで申し訳なかったけど、さっそく鑑賞させてもらい、
 私はとても誇らしかった。

 そんな記念すべき日であった。

 そして一方悲しみは、昨日 藤間紫さんが亡くなられたこと。

 扉座としては すみだパークの倉庫でやった特別公演

 夢の海賊 に出演して頂きました。

 それもさることながら、それ以上に、私にとっては、大切な先生であり、恩人であり、応援者でありました。

 私、猿之助一門には仕事以外でも、家族のようにお付き合いさせて頂いており、
 折々で、紫さんにはお世話になりました。

 紫さんから頂いたものは、芝居の財産としても、人としての宝物としても、数知れずです。
 芸術家としても、人間としても、とてもつなく大きく、美しい方でした。
 
 昨日、お見舞いに駆けつけた時には、呼吸が苦しげで、お気の毒だったのですが、
 最期は、あまり苦しむことなくご逝去されたそうで

 今日、同じ病室で拝見した、お顔は、とても安らかで、見覚えのある優しい微笑みを浮かべておられました。

 それが、ホッと致しました。

 もっともっといろんなことを聞き、教えて頂いておけば、
 そして、せめて何かもう一つ、
 紫さんと、作品を創っておけば良かった、
 と、それが心残りです。

 いつも、こんな芝居書いてくれないかな。

 とアイデアを話して下さっていたのに。
 結局、実現しなかった。
 


 そんな春、
 桜はまだ、三分ぐらい。
 今年の桜は、ゆっくりゆっくり開いてゆく。





 


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