市川弘太郎さんの結婚式
喜びと悲しみの、あざなえる縄の如し、ということで。
今日は、猿之助一門の、若手、市川弘太郎クンの結婚式であった。
本当なら、藤間紫さんも、猿之助さんと並んで出席していたはずの、幸せの日であった。
弘太郎クン本人も、このまま式を開いていいのか、悩んだということだけど、そもそも紫さんが、いろいろ世話を焼き、アドバイスして、今日の式を準備していたという経緯もあり、
この式を、しっかりやることこそ、ご恩返しであろうと、いうことになったとのこと。
二歳の時に、右近の舞台 スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」 を見て虜となり、そこから歌舞伎に通い詰め、ついに弟子入りしたという、弘太郎クンである。
二歳で、ヤマトタケルが本当に分かったのか、しかもその時右近は主役・タケルではなく、ヘタルベというタケルのお供の役だったのに、そんな渋いとこ、本当に見てたのか、と今でも皆がツッコミを入れるんだけど、
そもそも、池袋の伝説的名画座、文芸座の三浦大四郎さんの孫にあたり、三歳で、大四郎さんの娘さんである、日本舞踊家、林千枝さんの手ほどきで、日舞の初舞台を踏んだという男で、
まあ、
ちょぃと、普通の感覚じゃないことは、確かなのである。
ただし、見た目は、色白のあばれはっちゃく みたいな、童顔の愛嬌者で、とてもそんな華麗な血筋のしかも右近ゆずりの慶応出のエリート青年には見えない。
今日も、司法書士だというスラリとして美しい新妻の、隣に立つ姿は、タキシード姿なのに、浪人生の弟のようであった。
でも、当代の人気者が列席する、式はにぎやかで暖かく、そして楽しかった。
紫さんと、喪中と言うことで、欠席だった猿之助さんが不在なのが、寂しかったけど。
悲しみの中からも こうして新しいスタートがある。
右近の、紫さんの遺志を引き継ぎ、一門の長男の自分が、しっかりと面倒見て、末っ子である、弘太郎をひとかどの役者に育てていくという言葉を噛みしめつつ、
そして今日の青空のように、どこまで澄み切って永遠の幸せを誓う、可憐な新婦の、両親へのお手紙に涙しつつ
未来に向かう若者たちの、明るさが、我々に元気と勇気をくれた気がする。
あと、
一昨日のことで、もう公演は終わってしまったけど、
伴美奈子と、新人の藤本が出して貰っていた、経済とH の公演。
今年の ラブ×3 にも作品提供してくれた、佐藤さんの新作であるが、面白かった。
劇作家に転身しつつある、経済評論家・佐藤治彦氏、かなり確かな腕になってきたなあ、と感心する。
演出の水下きよし、に、うちの「ご長寿・ネバネバランド」に出て貰った、松田かおりさんとか、花組の桂とか、ボードビルの大森とか、オフオフシアターで、やるキャストか、という実力派を並べているから、
だいぶん、助けられているのも確かながら、これだけの人たちが、納得して、やっているというのが、たいしたものである。
加えて、我が座員ながら変な話だけど、
伴さんの、細かーい芝居、久しぶりに堪能した。
上手よねえ。
演劇界は、伴美奈子の、スゴサに早く気づくべきです。