あいしあってるぜ 清志郎

 清志郎が死んだ。
 本日も、アイドリング中、パソコン、いじってたら、速報が出てた。

 青春がまた一つ、去ってゆく。

 今から、追悼の意を込めて、ベスト版のCDをかける。

 善人会議時代、RCサクセション の曲だけ使ってやった芝居がある。

 ノータリン ベイビーズ ノーリターン

 ての。
 タイトルはカッコいい よな。

 無目的な若者がただ車に乗って旅する話。
 当時まだ岡本君だった、岡森と、脳がまだピカピカの新品だった、杉山が車の旅人役だった。
 六角は、もう六角精児を名乗っていたのかな。

 お天気予報の 木原実氏も参加していたはず。 

 善人会議唯一の タイ二イアリス 公演である。
 タイニイが、まだ3丁目にあった頃のことだ。
 
 映画イージーライダーに、感化されてたんだと思う。
 自分でもストーリーは思い出せない。
 たいして意味なく、ただ、走るだけの ロード演劇であった。

 SUMMER TOUR

 が
 テーマ曲だった。

 私はまだ大学生だった。
 ひと夏、パレスホテルの地下の厨房の洗い場で、鍋洗いのバイトやった金で
 当時の愛車・中古のブルーバードで、北関東にあった、当時の彼女の下宿先まで行って、数日泊まり込み、みたいなことになっていた。

 ブルーバードは、ラジエータに小さな穴が開いてて、しょっちゅう冷却水のケアをしなきゃ、高速道路で煙を立てて止まってしまう、地雷みたいな車だったものよ。

 でも
 それがオイラの サマーツアー だったのさ。
 たぶんカーステレオから、ずっとそれが流れてて、それがそのまま芝居になってしまったんだろう。
 
 スローバラード 
 はオーティス・レディングという人のメロディの、モロパクリだと、後に我らは知るのだけど
 あの歌で肝心なのは、詩だからね。

 僕らは夢を見たのさ、市営グランドの駐車場 で。

 それは あの頃の若者が、みんな体験したことだったんだ。市営グランドの駐車場の思い出がさ、70年終わりから八十年代はじめには、溢れているのさ。

 時代の気分てやつを、キヨシローはガシリと掴んでいたんだよ。

 芝居のクライマックスのバラードは

 エンジェル だったと思う。

 今かけ始めた ベストには、入ってないな。
 エンジェル
 
 ちょーし にのってるぜえ〜 運のいい えんじゅるぅ〜
 また思い出してる 優しくされたことぉ〜

 なんて やつ。
 今聞いたら、泣くかもな。

 当時は、ジャスラックなんか、知らないからね。
 好き勝手に、既成曲かけ放題だったのさ。
 
 でもね、
 この芝居のこと、今も思わぬところで、言われるんだよな。
 あのRCの芝居って。

 たぶん芝居の中味より、そんなRCの気分が、オイラたちを結びつけているのだと思うけど。

 ついこないだも、いきなり、あの芝居のこと言われて、ドキリとした。先月ぐらいのことだ。
 アレ、見てて、今もはっきり覚えてる って。

 某レストランのマスターなんだけどね。
 たぶん千人にも満たない観客数だったはずだけど。

 でも、やっぱり、マスターもRC世代の人なんだろーな。
 そんなふうに、オイラたちは清志郎の歌声でつながってるのさ。

 ただ
 私が初めて生・清志郎を見たのは、RCライブではなかった。
 それまでは、もっぱら 友&愛 でレンタルしたCDから落としたカセットテープ とたまーの、テレビ放送でな。

 それはRCが一段落付いて、ソロになって、アメリカのアーティスたちと レザーシャープ てアルバムを製作した、その帰国公演だった。
 外人引き連れて、ライブをやったんだ。

 中野サンプラザで 当時、かわいがって貰っていた声優の
神谷明さんに連れて行って貰った。

 このアルバムには 

 曲がり角のところで

 という曲がある。タイトルは微妙に違うかもだけど。
 これが後に

 曲がり角の悲劇

 という芝居になったのは、今ここで、初めて告白する。

 曲がり角 という言葉が、すっげー劇的に出てくるんだよね。
 そういう意味で、私にとって、清志郎 は大好きな詩人でもあった。

 清水邦夫さんが、アレン・ギンズバーグの言葉なんかに、どーんと刺激されて、長いタイトルを付けていたみたいに、
オイラは、清志郎の言葉に、グワーンとやられてたのさ。

 んで
 曲がり角の悲劇 は甲斐バンドの楽曲だけで、上演するんだけど。
 
 神谷さんのご招待だったから、ど真ん中のVIP席だったぜ。
 近くに泉谷とかもいて、隣は 故・景山民夫だった。
 民夫氏はなぜだか、片腕をギプスして吊り下げていたな。

 いろんな意味で、生涯忘れ去らないライブだぜ。

 アンコールで
 ルービイ チューズデイ
 とか
 ステンバイミー
 とか、やっていた。

 そのころの、清志郎はカバーもいいのよね。
 五百マイルの、清志郎訳版とかね。

 んで

 ずーっと時代が過ぎて
 ツトム という芝居をやった時
 
 それは 劇団初期の三部作の主人公 田山ツトム の後日譚だったので
 ちょっと懐かしく清志郎の歌声が聞きたくなり

 清志郎の
 サントワマミー で幕を閉じた。

 あ
 今ちょうど サントワマミー になった。

 ここからあと

 雨上がりの夜空に
 スローバラード

 の2曲でこのゴールデン・ベストというアルバムは終わる。

 今から、ちょっと泣きます。
 
 シーユー アイシテマス。

 20世紀の偉大なシンガーにして、詩人・清志郎さま。


 
 
 
 
 
   
 


 
 

 

 



 
 


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