鉄人たちの集い
日曜日は、座・高円寺で劇作家協会の日だった。
お昼からの理事会と総会を経て
5時からのシンポジウム、『会長サミット』と7時からのカフェ・アンリファーブルでの『大パーティ』と。
成り行きで、後半部の仕切り役になってしまっていたのだけど、とりあえず、無事に終わって、ほっとした。
会長サミットは、段取りだけ立てて、中味は一切、歴代会長にお任せであった。
まあ、何か雑談して下さい、みたいな。
極めて良い加減なフリで。
でも一方で、この人たち相手に、半端な進行なんか用意しても、反って邪魔になるんじゃないかと、思ったのだよ。
その読みは正しく、
4会長とも、劇作家で、しかも鉄人であった。
確かに雑談なんだけど、
気が付くと、芝居が語られ、世相が語られる。
この時代の言葉の有り様から、
裁判員制度の危うさとか、
人間関係の問題とか。
井上ひさし初代会長は、テレビのコメントなどで、人が何か言うときに、あまりに予定調和に、放送されそうなことを言うことに、人々が慣れすぎていて、
独自の視点からハッせられる言葉が少なすぎないかと、
提言しておられたが、
ここでは
4会長が4様の言葉で語りつつ、絶妙の調和を保っていた。
1時間40分、まったく編集なしで退屈しない雑談であった。
どうです、劇作家ってスゴイでしょうと自慢したくなった私だった。
劇作家版高級アメトークと呼びたい。
でパーティでは
鈴木聡理事と女優・西山水木監査が軽妙に司会を担当してくれ、
渡辺えり副会長が激しく歌ってくれた。
『この素晴らしき世界』などを、三輪明宏先生の如く、ご自分の訳詞で、熱く歌ってくれる贅沢なステージ。
なのに、
ガヤガヤと話し続ける、一部の観衆に、
いいからテメーら、黙って聴け、と叫びたくなったもう一人の副会長の私ではあったが
そんなノイズにまったく負けず、エネルギッシュに歌い上げられた、えり副会長に、脱帽であった。
「うるさいね、話し声と食器のぶつかり合う音と……、
酒場のジャズ歌手って、こんな雰囲気の中で、歌い続けてたんだね」
やたらに説得力のあるカッヨイMCでもあった。
ともかく、130人が集い、盛り上がってお開きに。
その後、えり副会長と、工藤千夏理事、マキノ理事、鈴木聡理事、土田英生理事、坂手会長、平田オリザ専務、久々に会った加納幸和会員、VIPゲストの鈴木裕美さん、に未入会の鈴木哲也氏などなど、鹿殺しの丸尾丸会員と若手作家数名<ノゾエ征爾未会員や山中隆次郎未会員まで入り交じり
近所の酒場で夜更けまで、わあわあと。
こうして書いてても、スゴイ顔ぶれだね。
もっと言うと、パーティで
加納幸和氏と、青井陽治氏と、新派の斉藤雅文氏が、3人並んで、乾杯してる図は、
マニアックに、しびれる図であった。
劇作家協会は、どっちかと言うと、小劇場系、前衛系が強い組織なんだが、
ここだけは、ザ演舞場、松竹東宝ショービジネス方面、って感じでね。
こういう人たちもさりげなく、ここにいるのが、更にスゴイのである。
さてしかし、
この日はそれで終わらなかった。
十二時過ぎから
マキノ理事、鈴木理事と、適度に酔って帰りたくなくなった様子の加納さんも誘って荻窪の某バーへ。
そこでは
忌野清志郎追悼集会が開かれていたのだった。
聡理事の劇団ラッパ屋の清志郎ファン倶楽部有志による、特別編集の問題シーン入りお宝映像や、涙なくして見られぬ最高演奏の映像ライブなど有り、
この日の流れとしては、
まったく脈力のない展開で、
ふいに胸一杯になったりして、
ながい一日は、さらに更けていったのだった。
