安藤忠雄 建築とアトム 

 今日は せんがわ劇場は仕込み日。
 私は、お休み ながら、休めず。

 もう一方で激しく進行中の、新作「アトム」の打ち合わせを。
 実は、先週日曜日、桜木町での ドリル魂千秋楽 のその場に、作曲の甲斐正人さんから、半分残っていたすべての曲があがってきたと、お届けがあり、
 
 明けて月曜日から、楽譜なんか見ても、分かんないから、ただひたすらそれらを必死に聞きこみ、
 
 昼間は 新羅生門 を稽古しつつ、朝と夜中に うんうん と唸り、たどたどしく楽譜とにらめっこしつつ
 指で字数を数え
 歌詞を付けていたのであった。


 んで、それを昨日明け方に完成させ、甲斐さんに送り、楽譜に落として貰って、今日はその修正であった。

 もちろん、山も谷もあったが、そこでさらに、音楽家と劇作家共に、うんうんと唸り、修正作業を共にして、

 とりあえずは、目出度く、全曲が仕上がった。

 ま、アトム方面は また改めて、報告したい。
 けど、この楽曲たちが、どれもとっても良い感じで、今日は、一山越えた爽快感を得た、目出度い日となった。

 で
 安藤建築である。

 ドリル魂 に出てきた、世界的建築家・遠藤貞雄先生の 町の公民館 のモデルが、せんがわ劇場 の入る、調布市の建物である。

 劇場の上に ふれあいの家 という、公民館スペースがあるのである。
 で、ここも芝居の稽古に使わせて貰った。

 んが
 この部屋の寒いことと言ったら。
 コンクリート打ちっ放しの問題点は、よく言われているが、
 どんなに強く暖房を入れても、なぜか空気が回らず、暖かさが上へ上へ逃げていき、
 我々は、震え上がって稽古していた。

 その上、なぜか廊下には、暖房そのものがない。

 だから寒い部屋を一歩出ると、そこはさらなる極寒である。ちょっとトイレに行くのも、億劫になる感じであった。

 だが諸君、これは建築家の意向なのである。

 ふれあいの家に集う人々が、四季の移ろいを、忘れないために、だそうだ。
 夏は暑く、冬は寒く。

 そのために敢えて、廊下には冷暖を置かぬのである。

 そんな建築を、多々の現代建築愛好家が、見学に集っている。
 世界のアンドー作品を鑑賞するために。

 まあ、それはそれで面白いから良い。
 ちゃんと芝居のネタにもさせて貰ったし。
 こうして話の種になるというのが、一つの成功と言えるだろう。
 建物のあり方の、再考察なのだろうからな。
 アンドーの精神は。

 冬場のふれあいの家で 風邪をひくこともまた、ふれあいなのだ、きっと。

 ちなみに
 肝心の劇場は、ちゃんと暖かいし、なかなかに居心地が良い。
 使い勝手も悪くなさそうだし。

 つまるところ不思議な建物だ。


 

 
  



 


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