舘形比呂一 さんのこと
今日は昼から、神崎で 夜には うたかた であった。
うたかたのオペラ に今回、舘形さんが出ている。
前から、いくつかの舞台で見ていて
魅力的な人だなあと思っていた。
今回も、昨年、川崎麻世さんがやってくれた、男の主人公・アマガス という役を、不思議に怪しく演じてくれている。
川崎さんは、生粋のエンターテーナーで、いかにも芸能の人という風情で、加藤さんと イカサマレビュー と呼んでいた、この作品にぴったりの雰囲気であった。
で、同じ役をやることになった人は、大変だなあと思っていたけど
舘形さんは、また違った、面白さで、イカサマレビュー の世界を作りあげてくれている。
前回が、戦前のバタ臭い、浅草チックな匂いだったとしたら、今回は、上海とか、よく知らない東欧の町とか
よりフックション性とアート感が高まっていると思う。
ところで、そんな舘形さんという人、こういう凄い才能が、いったいどこから出てくるのかと、コンボイショウの出始めの頃からずっと不思議であった。
きっとニューヨークで育ったとか、そういう経歴の人だろうと、勝手に思っていた。
ところが今日、稽古の合間に、ご本人が近づいてきてくれて、
僕、善人会議の頃とか、よく見てたんですよ、などと仰る。
え、ニューヨークとかにいたんじゃないの。
いえいえ、江古田にいました。
って。
うちに以前いた、日大芸術学部の俳優の、同級生だったのだそうだ。
そんで同じ、ミュージカル研究会だった、って。
モーチンに誘われて、見に行ってました。
モーチンというのが、その男で。彼も厚木高校の演劇部卒だった。当時、六角にパチンコを仕込まれて、完璧にハマリ、ひどいことになったりした、純粋で、可笑しい男だった。
今は、立派な会社員になっている。
軽いショックであった。
おお、そんな身近なところで、こんな偉大な才能が育まれていたのか。
そして、突然、この人が身近に感じられた。
今まで、ちょっと緊張して、タテガタさん、なんてお呼びしていたが
いきなり
ヒロくん、呼ばわりしてしまいそうな気分である。
だって
あの、モーチンの同級生じゃ、へんに遠慮したり他人行儀になる方が不自然だから。
それぐらい、モーチンというのも、愛嬌のある、親しみやすい男だったのだ。
もはや、モーチンの舞台姿を覚えているのなんて、関係者ぐらいのものであろうが。
ちなみに初演の 夜曲 の虎清役である。
そんな出会いが嬉しい日であった。